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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:東映映画
今世紀初頭、近代化したとは言え、列強諸国に比べ遅れをとる日本が、超大国ロシアに何故戦争を挑んだのか。そして、その戦争を背景に、政府、軍、民間といった様々な階級の人々がいかに生きたかを描く一大戦争巨編。監督は「トラ トラ トラ」の舛田利雄。 十九世紀末。ロシアの南下政策は満州からさらに朝鮮にまで及び、朝鮮半島の支配権を目指す誕生間もない明治維新政府の意図と真っ向から衝突、開戦か外交による妥協か、国内では激論がうずまいていた。軍事力、経済力ともに弱小な日本にとってロシアは敵にするには強大すぎた。 巷では、開戦論で民衆を煽動する壮士グループと、戦争反対を叫ぶ平民社とが対立。ある日、開戦論に興奮した民衆が平民社の若い女、佐知(夏目雅子)に殴りかかろうとしているところを、通りがかった小賀(あおい輝彦)が救った。その頃、伊藤は参謀本部次長の児玉源太郎と会見、対露戦の勝算を問うていた。児玉は早いうちにロシアに打撃を与え、講和に持ち込むしか勝つ道はないと訴えた。 明治三十七年二月四日、御前会議で明治天皇(三船敏郎)は開戦の決議に裁可を下した。ここに日露戦争の幕が切っておとされたのである。 日本軍は陸と海で破竹の進撃を開始した。伊藤は前法相の金子堅太郎をよび、アメリカのルーズベルト大統領に講和の調停役を引き受けるように説得を要請する。そうしたなかでも、神田のニコライ堂ではロシア人司祭によるロシア語の講座が細々と続けられ、出席していた小賀は、そこで偶然にも佐知に出会った。 思いがけぬ再会に、二人の間に愛が芽生えた。やがて、金沢の小学校教師である小賀も出征することになり、彼を慕って金沢までやって来た佐知と愛を確かめあう。 「私、小賀さんに帰ってきて欲しいんです。お願いです、どんなことをしても帰ってきてほしい・・・帰って来て・・・」 「いいのかい、ほんとにいいんだね」 うなづく佐知。二人、キスして抱き合う。 小賀の小隊には、豆腐屋の九市、ヤクザの牛若、その他梅谷や米川たちがいた。 戦況は次第に厳しさを増し、海軍はロシア東洋艦隊に手こずり、陸軍は新たに第三軍を編成、司令官に乃木希典(仲代達矢)を命じた。 旅順の陥落が乃木にかせられた任務だったが、ロシアはここに世界一という大要塞を築いていた。ロシア軍の機関銃の前に、日本軍は屍体の山を築いていく。絶望的な戦いの中で、小賀と部下たちの間に人間的な絆が生まれていった。しかし、戦いで部下を失った小賀の胸には戦争への怒りと、ロシア人への憎しみが燃えあがっていた。 十一月二十七日、司令部は二百三高地攻撃を決定した。その日、小賀は捕虜の通訳を命じられたが、「兵には国家も司令官もない、焦熱地獄に焼かれてゆく苦痛があるだけ」と拒否、その言葉は激しく乃木の胸を打った。 十二月六日、乃木に代って指揮をとった児玉のもと、二百三高地攻撃が開始された。戦闘は激烈を極め、乃木は鬼と化していた。そして、三一五○名の戦死者と、六八五○名の負傷者という尊い犠牲を払い、二百三高地はおちた。しかし、小賀たちの一隊は、ロシア兵との激闘の末、戦死してしまう。一ヵ月後、旅順は陥落、これが翌三十八年三月の奉天大会戦の勝利、さらには日本海大海戦の勝利へとつながったのである。 日本を護るために命を賭けた先人たち、尊い犠牲を無駄にしてはならないと痛切に思う。倒れても倒れても”突撃”を敢行する兵たちの姿が第二次大戦の”バンザイ突撃”にオーバーラップしてならない。 1980年 東映・カラー 監督 舛田利雄 出演 仲代達矢 あおい輝彦 夏目雅子 丹波哲郎ほかオールスターキャスト ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.08 12:20:49
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