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カテゴリ:アメリカ ・ ミュージック
この映画は「グレン・ミラー物語」と双璧をなすジャズ映画の傑作だ。特別出演として、トランペットのハリー・ジェームズ、ドラムのジーン・クルーパをはじめライオネル・ハンプトン、ベン・ポラックなど、当時の米ジャズ界のスタープレーヤーが登場する。ファンの方には見逃せない作品である。 1919年のシカゴ。貧しい洋服屋グッドマンは、少ない収入を割いて、息子のベニイ(デイヴィッド・カスディ)、フレディ、ハリイの3人にシエップ教授の元で音楽を習わせる。 16歳になったベニイ(バリー・トルエクス)は、遊覧船の楽士になり、ここでデキシーランド・ジャズで有名なキッド・オーリイ(彼自身)に会い、ジャズに興味を持つ。ベニイはやがてベン・ポラック楽団に入った。 年月が経過、ベニイ(スティーヴ・アレン)は故郷シカゴへ戻るが、家族との再会も父の自動車事故で死亡、悲しみの淵に落ち込む。ベニイは再びポラック楽団の演奏旅行に出た。 ある酒場での演奏中、ベニイは音楽批評家ジョン・ハモンドの妹アリス(ドナ・リード)に会った。やがて、ベニイはジーン・クルーパ、テディ・ウィルソン等と楽団を作り、ラジオに出演する。ベニィがクラシックの演奏会でモーツアルトを披露する場面は聞き逃せない。ジャズプレイヤーの彼が恥をかくのではないかと心配するアリスの恋心が伝わってくる名シーンだ。アリスはベニイの求婚を待ち受けていたが、身分の距りを考えたベニイは、愛の告白を無理に殺していた。母はアリスとの結婚に反対だったのだ。 1935年8月、幸運の女神はベニイに微笑んだ。ロス・アンジェルスでの演奏は、熱狂的拍手で迎えられた。スイングの誕生である。 成功に気をよくしたベニイは、ライオネル・ハンプトン(彼自身)を加えて四重奏団を作った。楽団はニューヨークのパラマウント劇場に出演する。興奮した聴衆が通路で踊り出すほどの熱狂ぶりがベニイを待っていた。劇場へ行ったアリスはもみくちゃにされる有様だ。 続いてカーネギー・ホールでの演奏会、同ホールに出ることは最高の栄誉であった。アリスはベニイの成功を喜んだが、求婚しない彼に失望していた。やがて演奏会の当日、彼女は現れなかった。演奏は進んでいく、ベニイの母が電話をかけて呼んでいたアリスがやっと駆けつけた。カーネギー・ホールの晴れの舞台で、ベニイはアリスを見詰めながら、2人が常に口ずさんでいた曲を演奏した。曲は「メモリーズ・オブ・ユー」だ。 ベニイの母が言う。 「あの子はきっとプロポーズするわ」 「今、してますわ」こうアリスは答えるのだ。 メロディはベニイの思いをのせてアリスの胸に快く響いてくるのだった。時に音楽はセリフよりも雄弁であると私は思う。余韻のある素晴らしい作品だ。 1955年 アメリカ・カラー 監督 ヴァレンタイン・デイヴィース 出演 スティーヴ・アレンドナ・リード バータ・ガーステン ロバート・F・サイモン ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.18 11:29:36
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