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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:東宝映画


三船の主演で、裕ちゃん、勝新、錦ちゃん、それにルリちゃんを加えた5大スターの顔合わせで実現した作品だ。個性豊かな5人が織り成すドラマは見るものを惹きつける。

物情騒然としてきた天保年間、幕府の陰謀、策略が日夜企てられ、暗躍していた。ここ、人里離れた三州峠に偶然なのか、申し合わせなのか、にわかに人が集まってくる。

まず、“からす”と呼ばれる謎の武士に金で買われた鎬刀三郎(三船敏郎)という用心棒風の男。彼はある密命をうけていたが、それが何であるかは全く知らない。三郎は途中、風来の女おくに(浅丘ルリ子)を助け、峠のふもとにある一軒の茶屋に預けた。

その茶屋には明るい田舎娘のお雪(北川美佳)、強欲な老主人の徳兵衛、それに玄哲(勝新太郎)と名乗る無気味な医者くずれが同居。そしてそこへ渡世人の弥太郎(石原裕次郎)が足をとめる。

さらに血だらけの男が二人、一人は狙った獲物は必ず射止めるという追跡役人の伊吹兵馬(中村錦之助)で、その縄にかけられているのは盗人の辰だった。

弥太郎に惚れる茶店の娘お雪が好きだという場面で裕ちゃんは応える。
「俺みてえな男にやさしいことを言ってくれるじゃねえか、泣けてくるぜ」
これはいつもなら相手役のルリちゃんに言うセリフだ。

三郎と弥太郎が成り行きで殴り合いの喧嘩をする。やや太り気味の裕次郎と三船がくんずほぐれつする場面は一寸した見物である。三船が「久しぶりにスカッとしたぜ」とのたまう。

二人が茶屋を出たあと、五、六人の凶悪者が押し入り、伊吹らをおそった。茶屋は一瞬にして恐怖と化し、連中は辰から何か伝言を聞き出すと容赦なく斬り捨て、伊吹ら四人を人質にした。

この盗賊の首領は何と意外にも同居人の玄哲ではないか。そこへ、三郎が他の凶悪者に捕えられて入ってきた。三郎の持っていた、一通の密書を見た玄哲は三郎が仲間であることを知り、水野越前守の命で、三州峠を通る御用金を掠奪し、松本藩をつぶすためだと話した。

ところが、その命を下した“からす”から「玄哲を斬れ」という密書が三郎に届いた。実は御用金などというのは真赤な嘘で、水野の弱みを握る玄哲を抹殺するという“からす”の大芝居だったのだ。

“からす”の差し向けた囮の行列が近づいてきた。弥太郎が率いる陣屋の捕手もかけつけた。策略を知った三郎の止めるのをふりきって、玄哲は一目散に砂袋をつんだ行列の中へ斬り込む。だが裏切られ、野望をくだかれた玄哲は追手をのがれ、自ら死を選んだ。

もはや、三郎には、一人私腹を肥やす“からす”は許すまじき存在であった。“からす”の一行を待ち伏せた三郎は、その胸元に剣を走らせた。

裕ちゃんの剣戟シーンはほとんど見せてくれないのは残念だ。立ち回りをするには体力が落ちていたのかもしれない。勝新の立ち回りでは時々、座頭市まがいの居合いを見せてくれるのが楽しい。

1970年 東宝・カラー 監督 稲垣浩 出演  三船敏郎 石原裕次郎 勝新太郎 中村錦之助  浅丘ルリ子 北川美佳 

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Last updated  2007.07.08 12:54:49
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