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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:東宝映画


昭和20年8月15日、私はまだ9歳で国民学校3年生だった。当時は岡山に住んでいたが、その日は暑い日で蝉の声ばかりがうるさく鳴いていたように思う。昼から始まった玉音版の放送は戸外で聞いた記憶がある。

「朕深く世界の大勢と帝国の現状を鑑み、非常の措置を以って時局を収拾せんと欲し、茲に忠良なる汝臣民に告ぐ・・・・・」
言っている陛下のお言葉の内容は全く理解できなかっが、直立不動で聞いていた大人たちが地面に倒れ伏して泣くのを奇異に思ったものだ。

昭和20年8月15日。日本は無条件降伏を求める米、英、中のポツダム宣言を受諾し、ここに太平洋戦争が終結した。広島と長崎の被爆から天皇による戦争終結の要望が出された御前会議まで、終戦を迎えるまでの日々は、まさに激動と言っても過言ではなかった。終戦に反対する陸軍青年将校たちはクーデター計画を練っていたが、阿南陸相は、天皇の決断に従うべきだと諭し自らは自決した。

阿南は青年将校に突き上げられ、本土決戦をあくまでも貫こうとするが、それは現実から目を逸らす大局観に欠けており無謀な精神論に過ぎなかった。参謀長を殺害しニセの命令書をもとに青年将校は決起し、玉音版を探すのだが・・・・。

もしあの時、玉音版が反乱軍の手に渡っていたらどうなっていただろう。それを考えると、寒気がする。「私はどうなってもいい」という陛下のお気持ちとは逆の方向に突っ走った一部青年将校たちの無謀な戦いで日本は連合軍により徹底的に叩かれ、分割統治されていたかも分からない。

本当に米軍だけの占領でよかったといえるのではあるまいか。今、こうして平和を享受できるのも、尊い命を賭けた人々のお陰であることを忘れないで欲しいと私は思う。

1967年 東宝・カラー 監督  岡本喜八 出演者 三船敏郎、加山雄三、島田正吾、山村聡、小林桂樹、黒沢年男、中丸忠雄、加東大介、笠智衆


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Last updated  2007.08.17 11:36:31
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