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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:東宝映画
日本兵の霊を慰めるため、僧侶となってひとりビルマの地に残る兵士の姿を描く感動作。竹山道雄の同名小説の29年ぶりの再映画化。脚本、和田夏十、監督、市川崑は前作と同じコンビ。 一九四五年夏、ビルマ戦線の日本軍はタイ国へと苦難の撤退を続けていた。そんな逃避行の最中、手製の堅琴に合わせて「はにうの宿」を合唱する一部隊がいた。井上小隊長(石坂浩二)が兵士の心をいやすため、歌を教えこんだのだ。 堅琴で判奏するのは水島上等兵。小隊は国境近くまで来たところで終戦を知り、武器を棄てて投降した。彼らは南のムドンに護送されることになったが、水島だけは附近の三角山で、抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため隊を離れて行った。 小隊はムドンで労務作業に服していたが、ある時、青いオウムを肩に乗せた水島そっくりの僧とすれ違った。彼らは僧を呼び止めたが、僧は一言も返さず歩み去って行った。 三角山の戦いの後ムドンへ向かった水島は、道々、無数の日本兵の死体と出会い、愕然とした。そして自分だけが帰国することに心を痛め、日本兵の霊を慰めるために僧となってこの地に止まろうと決意し、白骨を葬る巡礼の旅を続けていたのだ。物売りの話から、井上はおおよその事情を推察した。 彼はもう一羽のオウムを譲りうけ、「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ」と日本語を覚えこませた。数日後、小隊が森の中で合唱をしていると、大仏の臥像の胎内にいた水島がそれを聞きつけ、思わず夢中で堅琴を弾き始めた。兵士たちは大仏の鉄扉を開けようとしたが、水島はそれを拒んでしまう。 その夜、三日後に帰国することが決まり、一同は水島も引き連れようと毎日合唱した。井上は日本語を覚えこませたオウムを水島に渡してくれるよう、物売りの老婆に頼んだ。 出発の前日、水島がとうとう皆の前に姿をあらわした。収容所の柵越しに、兵士たちは合唱し、一緒に帰ろうと呼びかけるが、水島は黙っているばかり、そして竪琴で「仰げば尊し」を弾奏する。「別れの歌」を弾く水島の目からは涙がこぼれていた。そして、静かに森の中へ去って行く。翌日、帰国の途につく井上のもとへ、オウムが届いた。オウムは「アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ」と叫ぶ。水島は隊長に渡す手紙を物売りの老婆に託したのだ。日本に向かう船上で隊長は部下たちにその手紙を読んで聞かせた。 「私は帰るわけにはいかないのです。三角山で命を取り留めた私は、ムドンへ来る途中、ビルマの山河に散らばっている無数の同胞のカバネを見て、彼らを残したまま帰れなくなったのです。一体この世には何故このような悲惨なことがあるのか・・・。」 「私はこの苦悩に少しでも平安をもたらす者として行動せよ、その勇気を持てと考えました。私は幾10万の若き同胞の今は亡き霊の休息のための場所をつくるために、この地に残ります・・・生涯を賭けてでも・・・」 ビルマの土は赤い 岩もまた赤い ラストの手紙に私は涙した。数多くの若い世代の人たちにこの映画を見て欲しいと思う。 1985年 東宝・カラー 監督: 市川崑 出演者 石坂浩二 中井貴一 川谷拓三 渡辺篤史 小林稔侍 浜村純 北林谷栄 菅原文太 ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.22 21:38:10
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