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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:東宝映画


昭和33年の東京を舞台に空前のスケールで描き出した夢と希望の物語!! 今の世相を思うとき、月とスッポンの違いがあるのを感じる。

VFX(視覚効果)効果が見事に30年代を甦らせた。3丁目に住む人々の温かくやさしく、熱い思いが見る者に伝わってくる映画だ。


その1: 当時の東京はどうだっただろうか?

東京タワー建築中の昭和33年、私は大学4年生だった。完成するまで毎日のように近くへ見に行った記憶がある。ごく普通に今の我々が持っている携帯電話、パソコン、ビデオ、小型テレビ、壁掛けテレビ、など考えることすら出来なかった時代、なのに毎日がたのしかったのを覚えている。

高速道路はなく、勿論、高層ビルや高層マンションなども、いやマンションという言葉すらなかった。その時代を生き抜いてきた私も実に美しく再現されていることに驚かされた。スタッフ、特に美術関係や大道具、小道具、持ち道具などのご苦労に敬意を払いたい。


その2: 懐かしさ溢れるリアルな風景が画面いっぱいに拡がって・・・ 

映画の舞台は昭和33年、建設中の東京タワーを望む下町・夕日町三丁目。ある春の日、短気だけれど家族想いの父親・則文と、優しい母親・トモエ、そしてやんちゃな小学生・一平が暮らす小さな自動車修理工場“鈴木オート”に、星野六子と言う娘が集団就職で上京して来たところからスタートする。

立派な会社を想像していた彼女は貧相な”鈴木オート”に失望。そんな六子に一平は、「もうすぐうちにテレビがやって来る」と元気づけてやる。

鈴木オートの向かいで駄菓子屋を営む三流小説家・茶川竜之介も、身寄りのない少年・淳之介を預かることになっていた。一杯飲み屋の女将・ヒロミに頼まれ、酔った勢いで引き受けてしまったのだが、淳之介が竜之介の執筆する『少年冒険団』の大ファンだと知ると、彼も満更ではない。

やがて、鈴木家に待望のテレビが届く。その日は力道山の試合中継の日。近所の人々を集めてのお披露目――となる筈が、コンセントの不具合で画面が消え、運悪くそれを故障と勘違いした東大卒の竜之介が修理に挑むも、却って悪化させてしまう。

力道山のテレビ中継は私も夢中になってみたものだ。私の下宿もご近所さんを大勢集めて見せていた。


その3: 興行収入35億円突破の大ヒットの秘密は?

物語は続く。『少年冒険団』のネタに困った竜之介は、淳之介がノートに書き溜めていたお話を盗用。それを知った淳之介は、怒るどころか、自分の考えた物語が雑誌に掲載されたと目に涙を浮かべて喜んだ。

母親の住んでいる場所が分かった淳之介は、一目会いたさに一平と共に都電に乗り高円寺まで出向くが、願いは叶わなかった。その頃、晩御飯の時間になっても戻らないふたりを心配して、鈴木家と竜之介は大騒ぎ。やがてふたりは無事帰宅するが、竜之介は思わず淳之介の頬を打ってしまう。その姿は、まるで本物の父親のようだった。

冬が来た。淳之介に初めてのクリスマス・プレゼントが贈られた。欲しかった万年筆。それは、竜之介が則文に借金して買った物だった。そして、竜之介はヒロミにもささやかなプレゼントと共にプロポーズ。しかし翌朝、父親の入院費用で多額の借金を抱えていたヒロミは、竜之介の前から姿を消す。

そして、淳之介の本当の父親は大手会社の社長と判明。淳之介の将来を考えた竜之介は、嫌がる淳之介を無理矢理送り出すが、淳之介は竜之介のもとに戻って来てしまう。

そんな淳之介を、竜之介は、
「お前と俺は、縁もゆかりもないんだからな!」
と言いながら抱きしめるのだった。

その頃、六子は嫌がっていた正月の帰省を決意していた。里心がつくからと、わざと冷たい態度を取っていた実家の母。それが本当の気持ちでないことをトモエから聞かされた彼女は、急いで列車に飛び乗るのだ。そして、六子を見送った鈴木一家は、帰り道、夕日の中に聳え立つ、完成したばかりの東京タワーを眺めるのだった。

ほのぼのと心にぬくもりを感じさせるストーリー、それにもましてノスタルジックな昭和30年代の風物が心を捉えて放さない。老いも若きも楽しめる作品と言えよう。

2005年 東宝・カラー 監督・VFX:山崎 貴 出演 吉岡秀隆 堤 真一 小雪 堀北真希 もたいまさこ・三浦友和(特別出演)・薬師丸ひろ子

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Last updated  2007.11.20 13:31:57
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