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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:東宝映画
人の世を生き抜くためには何が必要なのか!? 余命あと3ヶ月と知った市役所の市民課長が、人々の役に立つ仕事に命をかける。 その1: 人それぞれ自分の生き様はどうなのか、考えさせられる映画 夜のとばりに包まれた真新しい公園に、雪がしんしんと舞い落ちる。 いのち短し 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬまに ブランコに揺られる主人公渡辺勘治(志村喬)が、しみじみと「ゴンドラの唄」を歌う。 彼は死に直面し、残された時間を有意義に生きようと、児童公園の建設に全力を傾注する。そして、夢を果たし終えた満足感に浸りながら、この世に別れを告げる・・・。 黒澤明の名優志村喬を捉えた見事な映像美が、生きることの尊さを写しだしている。 その2: 平々凡々と死を迎えるのか、それとも自分に恥じない何かを成し遂げるのか 60代以上の方で、自分の死を考えたこともない、と言える人は幸せだ。いつか迎えることになる死・・・それを考えさせてくれる名画である。平々凡々とした日常を勤め上げる、それもまた素晴らしい人生なのだ。とかく人間は変化に富む生き方を好むからだろうか。 市民課長の渡辺は、胃癌で死期が迫っていることを知って落ち込む。そんな時、町工場でゼンマイ仕掛けのウサギを作っている、役所の元事務員小田切とよ(小田切みき)と会う。 彼女は自分が作ったウサギの人形を見せていうのだ。 「このお人形さんをひとつ作るたびに、わたしはどこかの赤ちゃんと仲良くなったきがするの」 渡辺は彼女の明るさに大いに励まされる。そして、決意するのだ。 「人様のお役に立つ仕事を成し遂げて、わたしは死のう」と。 その3: 決意した時に立ち塞がる大きな壁が・・・ 人間、何かをしょうと決意したとき、順調にいくことなどまずない。ともすれば邪魔が入る。家族の邪魔、友人の邪魔、組織の邪魔・・・。ことなかれ主義でいくのなら、ついつい妥協するか、諦めてしまう。最後まで”初志貫徹”出来る人は少ないと思う。 渡辺の前にも役所の大きな壁が立ち塞がる。それに町のボスの脅迫・・・だが、命を賭した彼に恐れるものはなかった。30年無欠勤の堅物”ミイラ”に一体何が起きたのか、周囲の人々は”脅威の目”で彼をみつめる。 通夜の場面で一人の人間の生き様が描かれていく。私はいつもこういう席に呼ばれたとき、棺に入った自分はどこから眺めているのだろうと思ってしまう。それと参列してくれた人はどんなことを話しているのだろうかと。そう思うとき、人のお役に立てることをなしてきただろうか・・・と反省するのだ。 1952年 東宝・モノクロ 監督 黒澤明 出演 志村喬 金子信雄 関京子 小堀誠 浦辺粂子 南美江 小田切みき 藤原釜足 山田巳之助 田中春男 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.12.26 11:31:32
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