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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:松竹映画


寅さんシリーズの第13作、山田洋次監督とマドンナ吉永小百合。吉永は2度目のマドンナ役である。

夫に死別して今は未亡人となっている歌子は、かつて寅次郎が思いを寄せていた女性。偏屈な父親との仲を悩む歌子のためにトラさんは一肌脱ぐことになったが・・・。


その1: 山田作品34年ぶりという吉永だが・・・

封切りされたばかりの「母べえ」は未見だが、若いときの純真な小百合ちゃんそのままと言える。年こそ時を感じさせるが、純粋な心をそのまま持ち続けているような気がする。

いつまでも、いつまでも”若い心”を持ったままの小百合ちゃんでいて欲しいと思うのは私だけであろうか。未だに日活撮影所時代のイメージが抜けていないせいだろうか。

山陰・津和野を舞台に寅さんが笑いと涙の珍騒動。マドンナ役の吉永小百合が「柴又慕情」に続いて二度目の登場を果たし、寅さんと息のあったところを見せてくれる。

温泉町の旅館で働いていた寅(渥美清)は、夫が蒸発している働き者の絹代(高田敏江)という人妻と所帯を持つ決心をし、柴又に帰ってきた。この縁談をまとめるべく、さくら(倍賞千恵子)と裏の工場の社長を引き連れて絹代に会いに行くが、絹代は寅の顔を見るなり、夫が戻って来たことを嬉しそうに告げるのだ。

さくらに置き手紙を置いてまたも旅に出る寅。山陰にある城下町・津和野、ここで寅はなつかしい歌子(吉永小百合)と再会した。

二年前、寅の恋心を激しく燃え上らせた歌子は、小説家の父の反対を押し切って陶芸家の青年と結婚した。その後、その夫が突然の病で亡くなり、今は夫の実家のあるこの町で図書館勤めをしていた。


その2: 寅さんの相手を思うひたむきさ、寅の純真さに打たれる!!

現在の歌子は不幸に違いないと思った寅は「困ったことがあったら、“とらや”を訪ねな」と言って別れてしまう。

家に舞い戻った寅は、
「俺は薄情な男だ。どうしようもない冷たい人間だ。苦しんでいるに違いない歌子さんを残したまま、バスに乗っかっちゃって・・・なんて云うヤツだ」
と大荒れに荒れる。このあたりの演技は渥美の独断場だ。

歌子が柴又を訪ねたのは、それから十数日後。人生の再出発をする決意ができたと語る歌子は、暫くの間とらやの二階で世話になることになった。

それからの寅は、歌子を励まし、歓ばせるための大奪闘・・・。歌子にとって一番の気懸りは、喧嘩別れしたままの父・修吉のこと。

寅は早速、単身修吉を訪ね、歌子の代りに言いたい放題を言って帰って来た。そのことを知って皆が蒼くなっているところへ修吉が現われ、歌子と二年ぶりの父娘の対面となった。一同の心配をよそに、お互の心情を語りあった修吉と歌子は和解する。人間の持つ心の温かさを感じさせる場面だ。

やがて、歌子は東京に帰って来たもう一つの目的である仕事について、博とさくらにも相談し、悩んだ挙句、伊豆大島にある心身障害児の施設で働く決心をした。技術も資格もない彼女が誇りをもって参加できる仕事として彼女はこの職場を選択したのだ。歌子にその決意を聞かされた寅は、ホッとしたような少し疲れたような様子で「よかったネ、歌子ちゃん」と答え、励ます。


その3: 歌子へのさりげない精一杯の寅さんの”愛の告白”???

父と和解して実家に戻った歌子を訪ねた寅さん、縁側で浴衣姿の歌子と並んで多摩川の花火を見るシーン。
「アッ、仕掛けだわ。(と、庭に駆け出し)凄い、寅さん、早く来て!!」
「(縁側に座ったまま)歌子ちゃんの浴衣姿、とってもきれいだ」
「え、何、何て言ったの?」
「・・・・・」

これは寅さん流の愛情の告白であろうか。

寅さんシリーズは日本人の魂を描いた映画と私は思う。それを引いたのが釣り馬鹿シリーズと言えよう。かっての日活渡り鳥シリーズはバタ臭い香りが好まれたのだろうか。

この映画の製作された1974年はルバンク島で小野田少尉が発見された年である。

1974年 松竹・カラー 監督  山田洋次 出演 渥美清 倍賞千恵子 吉永小百合 松村達雄 三崎千恵子 前田吟 中村はやと 太宰久雄 佐藤蛾次郎 笠智衆 宮口精二 高田敏江 

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Last updated  2008.01.28 12:41:15
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