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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:アメリカ ・ 喜劇
「チャップリンの独裁者」以来7年ぶりで製作し、製作・脚本・監督・主演を1人で行なった作品。 失業した銀行員が妻子を養うために、結婚詐欺と連続殺人に手を伸ばしていく姿をブラック・ユーモアで描いた傑作である。 その1: チャップリンの言いたかったことは・・・? 偽名を幾つも使い、妻にした女性の家を廻るヴェルドー。彼は車椅子に乗った本当の妻と子供を愛している。仕事はセールスマンだと妻子には云い、他の女を殺して手に入れた金を手渡してやる。そしてまた家を出て行くのだ。 ヴェルドーは重婚している女の家を廻って金を集金していく。まるで集金人のように。そして金をうまいこと言って手に入れるとその女は用済みとして消してしまう。 それから次の犠牲者を探しにかかる。まるでそれが事業でもあるかのように。そう、殺人こそが彼の事業なのだ。 その2: "青髭”のヴェルドーは刑事に捕まるが・・・ ある日、刑事が訪ねて来た。悪運尽きて終わりかと思わせるが、彼は刑事に毒薬を飲ませる。一定の時間が過ぎると眠くなり、そのまま息が絶えるという毒物だ。おまけに解剖をしても痕跡は一切残らない代物なのである。 連行される途中、列車内で眠りこむ刑事から手錠をはずし、脱走することに成功する。 彼が目星をつけた金持ちの未亡人をオトス場面は見事だ。何度も何度も未亡人の好きな花を花屋に送らせ、遂にはウンと言わせるあたり、さすが色事師の本領発揮であろうか。 その3: こうして稀代の好色殺人鬼は次々に女を殺していくのだが・・・ 悪運尽きて捕らえられたベルドー、裁判で死刑を言い渡される。 「何か云いたいことがあるか?」 裁判長がヴェルドーに聞くと、彼は、 「有りますとも。大量殺人は世界が奨励してるんです。大量殺人のための破壊兵器を製造してるんです。何一つ疑ってない女性を殺し、何も知らない子供を虐殺、それも科学的に行っています。大量殺人では私はアマチュアなんです」 * * * そして死刑執行の日、ヴェルドーは取材に来た新聞記者にこういうのだ。 「君は罪の人生の悲劇的な手本だな」と記者。 「こんな罪悪の多い時代に誰も手本にはなれない」 「君は殺人を重ね、金を奪っている」 「事業です」 「世間ではあれを事業とは言わんよ」 「大事業の歴史を見なさい。戦争、闘い、すべて事業です。一人殺せば悪党で、100万人だと英雄です。数が殺人を神聖にするんです」 言葉を残して殺人鬼は断頭台に向かうのだった。 チャップリンの言いたかったことはラストの新聞記者との対話に尽きる。戦争を見事に断罪していると言えようか。 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.29 22:28:51
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