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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:日活映画



一見、西部劇風のタイトルは日活お得意の無国籍映画を思わせるが、さにあらず、花から花へ旅をする養蜂業者の幌馬車隊のお話だ。勿論、赤木主演の作品だから、アクション仕立てで、ガンプレイあり、馬の追っかけあり、おまけに笹森礼子の水浴びシーンまで見せてくれる。野口監督のサービス精神の行き届いたことよ。

養蜂のことを全く知らないあなたには、養蜂業者がどんなことをするのか、蜂のことを劇中で説明してくれる。


その1: 養蜂業者は”花のジプシー”と呼ばれている

蜜蜂と一緒に季節の花を追い、蜜を求めて旅をつづける移動養蜂隊。養蜂隊の隊長山善老人(芦田伸介)は孫娘十美(笹森礼子)を迎えに駅まで行った帰途、負傷し道に倒れている青年を連れて帰った。

青年の肩の傷は銃弾によるもので、彼の将来を考えて老人は警察にはとどけなかった。二日後彼は意識を回復した。青年の名は野上雄介(赤木圭一郎)、列車を襲い機関士を射殺して逃走中のギャング団の一人だった。

物珍しげに巣箱を覗き込む雄介に十美が説明する。
「あの真ん中の一番大きくて立派な蜂が女王蜂なのよ。蜂はあの一匹の女王蜂を中心にして数千の雄蜂と数万の働き蜂で共同生活をしてるの。女王蜂は雄蜂の一匹と結婚して卵を産む。働き蜂はその卵を一人前の雄蜂に育てたり、巣を作ったり、蜜を取ったり、女王蜂の子供を育てるためのエサをローヤルゼリーと云って、人間にとってもよく効くんですって」

雄介は十美や山善老人の親切さに、ともすれば追われる身を忘れた。


その2: 赤木はやはり雰囲気を持った男だ 不死身の男を演じても・・・

数日後、一味のサブと柄政(郷瑛治)が幌馬車隊にまぎれこんだ。二人はピストルを持って強引に居すわった。十美を襲った二人を雄介がたたき出した。

翌日、雄介と十美が町に出た。町には一味のボス鬼島(水島道太郎)がいた。彼は雄介を呼んで強盗の手伝いをしろという。雄介は拒否した。

その夜、鬼島らは養蜂隊に乱入した。隊員たちは雄介の前身を知って驚き、十美も驚いた。翌朝、鬼島は幌馬車隊に出発を命じ、しかもルートを変更して山に行かせる。拳銃の前にはさすがの山善も拒めなかった。

鬼島の情婦あけみ(楠侑子)が雄介を誘惑した。その夜、激しい雷雨が一行を襲う。隊員の妙子が産気づき、雄介は医者を呼びに行こうとした。が、鬼島らが立ち塞がる。
「裏切りは許さねえぞ」
「この人たちを放してやってほしい。俺の命と引き換えでもいい。俺はもうこれ以上、黙ってみてることは出来ねえんだ。6年前行き倒れたところを助けてもらった恩は忘れはしねえ。だからあんたの言うままについてきた。そのために人殺しまでしてしまったんだ。だけどもうごめんだ。俺はどうなってもいい、この人たちを放してほしい」
「生意気な、やっちまえ」
鬼島の命令で袋叩きに遭う雄介。

これをみた老人ら隊員たちは団結した。夜明け、雄介は秘かに妙子を馬車にのせて山を下った。

柄政らが後を追う。雄介は柄政を倒し、十美に妙子をまかせて幌馬車隊に戻る。その頃、警官隊は山を包囲し、洞窟に一味を追いこんだ。

鬼島は老人をタテに反抗、駈けつけた雄介は洞窟に向った。
「危ない!」
と雄介の前に飛び出すあけみ、その背に鬼島の凶弾が・・・。

「しっかりしろ」
あけみを抱き起こす雄介。
「話とかなきゃなんないことがあるの。機関手を殺したのはあんたじゃない、鬼島よ。・・・私、見て知ってたの・・・」


雄介と鬼島が格闘の末、鬼島は断崖から落ちて死んだ。警官のジープに乗る雄介を見送る山善老人と十美。


その3: サービス精神に富んだ野口博志監督だが、この作品は??

可も無く不可もなく、ともかくもまとめたとしか云えない作品だ。赤木に惚れた笹森の想いが少しも伝わって来ないのは何でだろうか。彼女はあまり演技力のある女優さんではなかったようにおもうのだが。

ラブシーンらしき場面が少しも無かったのも珍しい。もう一つ、折角待田京介を使いながら、いい役者の彼を生かしきれていないのは残念だ。

1960年 日活・カラー 監督  野口博志 出演 赤木圭一郎 芦田伸介 笹森礼子 水島道太郎 郷瑛治 武藤章生 楠侑子 待田京介

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Last updated  2008.03.08 20:15:37
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