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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:東宝映画
誘拐犯と警察捜査陣との息詰まる対決を描いたスリリングな作品!! 隅々まで計算され抜いた脚本の構成!! エド・マクベイン原作“キングの身代金”を「椿三十郎」の小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎、黒澤明が共同脚色。 その1: 丘の上に聳え立つ豪邸は富の象徴だろうか ナショナル・シューズの権藤常務(三船敏郎)がその家の主人である。下界が一望のもとに見渡せる冷暖房完備の邸宅は下に住む人々からは天国のように思われていた。 その権藤、明日までに五千万円を大阪に送らないと、次期総会で立場が危くなるというのだ。家の中で騒いでいた息子の純と運転手の息子、進一がいつの間にかいなくなり、誘拐犯人からの電話が入った。三千万円を用意しろ、さもないと息子の純を殺すと云うのだ。 全てを抵当に入れて5千万の金を作った権藤だが、息子の命に関わるとなれば出さない訳にいかない。権藤が決断しかけたとき、純が部屋に入ってきた。 「こんな時に悪い冗談を仕掛けやがって」 と怒る権藤。だが、冗談ではなかった。 間違えて運転手の息子進一を連れていってしまった誘拐犯人から再び、三千万円をよこさないと進一を殺すという電話があったからだ。 「金は出さんぞ、絶対にびた一文出さん」 金を出してしまったら総会対策はおじゃん、それも運転手の息子のために・・・だが、自分の息子も運転者の息子も人の子、命に変わりはない。苦境に立った権藤は結局金を出すことになった。 権藤邸に張りこんだ戸倉警部(仲代達矢)達は権藤の立場を知って犯人に憎しみを持った。犯人は7センチの厚みのカバンに札束を詰めろという。 「7センチ? 厚みにどんな意味が・・・」 戸倉は呻いた。 金を渡す場所。それは、第二こだまに乗れということだ。犯人から車内電話が入った。鉄橋を渡る手前で子供の無事を確認しろ、確認したら鉄橋を渡ったところで洗面所の窓の上部からカバンを落とせという。犯人は戸倉警部達を嘲笑するかのごとく、巧みに金を奪って逃げた。 その2: 権藤VS誘拐犯の構図は警察対誘拐犯へと移る 進一は無事にもどった。駆け寄る進一と抱き合う青木を離れて見ている戸倉警部たち。 警部が云う。 「いいな、犬になってもホシを追うんだ!」 権藤は会社を追われ、債権者が殺到する。運転手の青木は進一の書いた絵から、監禁された場所を江の島附近と知って、進一を車に乗せて江の島へ毎日でかけて行く。 田口部長と荒井刑事は、犯人が乗り捨てた盗難車から、やはり江の島の魚市場附近という鑑識の報告から江の島にとんだ。 そこで青木と合流した二人は、進一の言葉から、ついにその場所を探り出した。その家には男と女が死んでいた。麻薬によるショック死だ。 一方、戸倉警部は、ある病院の焼却煙突から牡丹色の煙があがるのをみて現場に急行した。金を入れた鞄には、水に沈めた場合と、燃やした場合の特殊装置がなされていた。燃やすと牡丹色の煙が出る。(この場面、煙だけをパートカラーで強調)その鞄を燃やした男はインターンの竹内銀次郎とわかった。 また共犯の男女ともかつてこの病院で診察をうけており、そのカルテは竹内が書いていた。 その3: 幽鬼のごとき麻薬常習者の群れ ヤクの恐ろしさを見事に・・・ 今竹内をあげても、共犯者殺人の証拠はむずかしい。戸倉警部は、二人の男女が持っていた二百五十万の札が、藤沢方面で発見されたと新聞に発表する一方、竹内には、二人が死んでいた部屋の便箋の一番上の一枚に、ボールペンで書きなぐった後を復元した、「ヤクをくれヤクをくれなければ……」という手紙を巧妙に渡して、腰越の家に罠を張る。 そして、竹内には十人からの刑事が尾行についた。竹内は横浜で麻薬を買った。肺水腫に犯された二人が麻薬純度九○%のヘロインをうって死なないはずがない。竹内はそのヘロインを今度は、伊勢崎町の麻薬中毒者にあたえて試そうというのだ。果して一グラム包○・三%を常用している中毒者は忽ちにしてショック死した。 この場面は何とも不気味である。大勢の男女がヤクを求めて歩き回る部屋、幽鬼のような姿は見るに忍びない。 竹内は薬の効果を確かめてから、二人の男女中毒者をおいておいた腰越の別荘に向かった。そこには、すでに戸倉警部の一行が、ずっとアミを張って待ってた。 竹内の手に手錠が鳴った。竹内には「殺人罪で死刑」の判決が下ったのである。戸倉警部以下警察のねばり強い地道な捜査の勝利であった。 さすがに黒澤作品だけのことはある。緻密な構成と無駄なカットのないシーンの連続。見る者を引き込んでしまう”黒澤ワールド”。ご一覧をお勧めしたい。 1963年 東宝・モノクロ 監督 黒澤明 出演 三船敏郎 香川京子 江木俊夫 佐田豊 島津雅彦 仲代達矢 石山健二郎 木村功 加藤武 三橋達也 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.03.12 21:19:24
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