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カテゴリ:松竹映画
明治時代、手術を受けなければ命のない貴船伯爵夫人は、麻酔をかけられるとうわ言で秘密を漏らすからと麻酔を拒み、2人だけの秘密を持った仲である青年医・高峰に執刀を依頼する。 周囲の者が心配する中、麻酔なしの手術が始まる。泉鏡花の短編小説を歌舞伎の坂東玉三郎が監督した作品。吉永小百合、加藤雅也ほか出演。 麻酔を拒否して手術を受ける伯爵夫人と若き執刀医との隠された思慕の念を描く。 その1: 麻酔をかけるとうわ言で秘密を漏らすのは本当だろうか 明治時代のとある外科室で、貴船伯爵夫人(吉永小百合)は、うわ言で秘密を漏らすからと手術の麻酔を拒み続けていた。 「少しでも動くと危険です。麻酔なしでは・・・」 「かまいません。やって下さい」 彼女は青年医・高峰(加藤雅也)に麻酔なしの執刀を頼む。 周囲の驚きをよそに、メスを握る高峰。そして、その現場を見守る彼の学友でもある日本画家の清長(中井貴一)。 その2: 植物園ですれ違った瞬間 芽生える愛!! 9年前、植物園での一瞬の邂逅を夫人と高峰は忘れていなかった。すれ違い、そして川の両岸に立って見詰め合う2人。言葉を交わすこともなく、心の奥深くに2人だけの秘密として刻み込まれていた愛の世界。 医学生の高峰は友人の清長に言う。 「真の美の人を動かすことこの通りさ。君はお手の物だ。勉強したまえ」 「私は絵描きだ、ゆえに動かされん」 何の交流もなく、9年間も思い続けることが出来るものだろうか。それも二人共にである。 そして手術の日、夫人は手術のメスを胸に当てた瞬間、起き上がり高峰の手のメスを自らの胸に突き刺すのだ。やがてその後を追うように高峰も命を断ったのである。 清長は思い出の植物園のベンチに腰掛けて老人相手に過ぎ去ったその日のことを喋る。 「その後、9年を経て病院の件がある日まで、あの日見た限りの伯爵夫人への想い、高峰は私にすら一言も語りはしなかった。年齢においても地位においても奥方のあってしかるべき身であるにも拘わらず、高峰の品行は学生の頃よりも一層謹厳となり、いかなる女性をも近づけようとはしなかった」 「---」 「青山の墓地と谷中の墓地と所こそは変わりたれど、彼ら二人同じ日に前後して相逝けり。 ・・・ご老人、二人は天国へ行くことは叶わないのだろうか?」 その3: これは”天国に結ばれる恋”なんだろうか? 泉鏡花の原作だけに、美を意識した映像作りが目立つ。ドラマよりもそっちに力点が置かれているような気がする。 明治の女には充分考えられる設定だとは思うが。サユリストの満足できる作品であるならばよいのだが・・・。 1992年 松竹・カラー 監督: 坂東玉三郎 出演 吉永小百合 加藤雅也 中井貴一 鰐淵晴子 広田玲央名 毬谷友子 南美江 伊井義太朗 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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