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チンピラ数人によって理由もなく婚約者を殺された女性が、1挺の拳銃を手に入れる。そして法で裁かれない悪人を撃ち殺して……。銃社会アメリカの倫理観や道徳観を問う、ジョディ・フォスター主演の社会派ドラマである。 その1: ピントをぼかしゆらゆら揺れるタイトルバックは主人公の内面を象徴? ニューヨークの人気ラジオ・パーソナリティ、エリカ・ベイン(ジョディ・フォスター)。ある夜、犬を連れてフィアンセと散策の途中、チンピラ数人に襲われフィアンセを殺され、彼女自身も命を落としかける。 昏睡から覚めたエリカから事情聴取する警察官。 「ベインさん、我々はあなたの見方です」 「分かってる。でも、正義の味方は助けてくれないのね」 と、エリカ。 エリカは、絶望からもう一人の自分に目覚めてしまう。自分の中に他人がいるような感覚で手に入れた銃で、復讐と魂の救済を求めるエリカ。 「なぜ誰も自分を止めてくれないのか?」という矛盾した思いを胸に、今日も夜の街を彷徨うエリカ。そして、老人や子供、女性をいたぶる場面に出会うと彼女は我慢できず・・・ その2: 野放しにされた悪を見逃している社会 それはどうにもならないのか? エリカ、ラジオ番組の取材をマーサー刑事(テレンス・ハワード)に申し込む。それを接点にマーサーはエリカを執拗に追いかける。”何かがある”と接近した彼が次第にエリカに惹かれていく。 DJでマイクを前に語るエリカ。 「『ストリート・ウオーク』担当はエリカ・ベイン」 カーラジオでエリカの番組を聴いているマーサー刑事。 「私は街を歩く。ニューヨークも、他の都市も変化する・・・ニューヨーク、世界一安全な都市、愛していた街が、恐怖の街に変わる。見慣れた通りの角で物陰に脅える。階段すら昇れない、私は恐怖を知らなかった。女性の一人歩き、郵便受けには”白い粉”の入った郵便物、暗闇、人を恐れる人たち、恐怖は他人事だった。恐れるのは弱者、私は無関係・・・でも違った」 車で走りながら耳を傾けているマーサー刑事。 「訪れた恐怖は息を潜め全てにまとわりつく、愛するもの全てに・・・。全身に悪寒が走る、胸が締め付けられる。かっての自分に問いかける・・・昔に戻れる?」 恋人の墓の前に佇むエリカ。 「・・・答えて・・・」 刑事と食事を共にするエリカ。 「新米刑事の頃、よく考えた。もし親しい人が犯人だったら、逮捕できるかと」 「するわね、あなたなら・・・」 「証拠さえ掴んだら、女を逮捕する」 「掴むわ。優秀だから」 「見逃さない」 腹の探り合いをする二人。内蔵をえぐるような切れ味だ。 その3: いつ巻き込まれるか分からない現代の不安 それを見事に浮き上がらせた傑作 今、私たちも毎日不安と隣り合わせになりながら生きている。夜は特にそうだ。まさにニューヨークとそっくりになっている。 この映画の結末は書かないでおこう。興味があれば見ていただきたい。エリカはフィアンセの仇を討つことが出来るのか、法の番人が阻止するのだろうか。意外な結果が用意されている。最近作の中では見事な魅力に満ちた、傑作サスペンス・アクションと云えるだろう。 ジョディ・フォスターの演技は素晴らしいの一語に尽きる。原題「ブレイブ ワン 」は”勇気あるもの”とでも訳せばいいだろうか。 もう戻れない 昔の自分に 自分の中の見知らぬ他人 それが今の自分の姿・・・ 2007年 オーストラリア・カラー 監督:ニール・ジョーダン 出演 ジョディ・フォスター/テレンス・ハワード/ニッキー・カット ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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