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カテゴリ:アメリカ ・ ミュージック
「オーケストラの少女」 これは”天使の歌声”を持つといわれた少女スター、ディアナ・ダービンが、その才能と魅力を存分に発揮した音楽映画だ。 これを読んで下さっているあなたはまずご存知ない名前と思うが、彼女の愛らしさに虜になるだろうと思う。 物語はダービン演じる少女が、トロンボーン奏者の父とその楽士仲間を失業から救うためにオーケストラを結成するところから始まる。 「楽団を作るわ。腕のいい音楽家を100人集めて、オーケストラを作るの」 「我々は一文無しだ。カード遊びで一日過ごすよりマシだ」 無為な日々を送っていた父のジョン(アドルフ・マンジュウ)は、”失業者楽団”に夢をかけ、ガレージで仲間たちと練習する。 天真爛漫な少女バッツィ(ディアナ・ダービン)は、著名な指揮者に”失業者楽団”の指揮を頼む。 少女の情熱にうたれた大人たちは夢を取り戻し、気難しい指揮者も心を動かされていく。 ”失業者楽団”の名演奏に、思わず指揮をとるレオポルド・ストコフスキー(本人)。”指揮棒を持たない”ことで知られたストコフスキーの指揮ぶりは、見所の一つだ。 ダービンは、ストコフスキーの指揮でモーツァルトの「ハレルヤ」とヴィヴァルディの「乾杯の歌(椿姫より)」高らかに熱唱する。 演奏会は見事大成功。「まばゆい光が降り注ぐなかで、大きな虹が空を染めれば、灰色の昨日とはさようなら」 そういって、彼女は父と抱き合うのだ。 この映画の日本公開は37年の12月29日、「日中戦争」の勃発から5ヶ月後のことだった。 映画館に足を運んだ人々は、ダービンの晴れやかな歌声に酔いしれ、暗く重い現実をしばし忘れたのである。 今も変わらぬ現実がある。ダービンはきっと幸せを運んでくれるだろう。 1937年 アメリカ・モノクロ 監督 ヘンリー・コスター 出演 ディアナ・ダービン、アドルフ・マンジュー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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