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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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「若草物語」は女性なら一度は手にしたであろうオルコットの名作である。小説の発表以来、過去に何度も映画化されているが、当時のハリウッドの若手スターの競演ということでも、この作品が最高のものであろうと私は思う。

長女メグにジャネット・リー、活発で男勝りの次女ジョーにジューン・アリスン、三女のエイミーにはエリザベス・テイラー、そして末っ子のベスには名子役だったマーガレット・オブライエンという配役だ。
おてんばな次女ジョーが雪道を走り、ひょいと柵を飛び越える、そんなユーモラスなシーンで「若草物語」は幕を開ける。


<ストーリー>

南北戦争当時のマサチューセッツ州コンコード。マーチ家の四姉妹は慈愛に満ちた母を助けながら、牧師として従軍している父の留守を守っている。裕福ではないけれど、心豊かな毎日、だが、戦場での父の怪我、ベスの病気と、マーチ家を様々な災難が襲ってくる。

「--父の言葉を忘れずに、母には優しき娘となり、再会のとき”わが小さき婦人たち”への愛がさらに増すように・・・」
従軍している父からの手紙を読む母の回りで父への思いを募らせながら聞く四姉妹。

クリスマスに、四姉妹にはそれぞれ欲しいものがあった。メグは羽根飾りのついた帽子、ジョーは新しい小説、エイミーは画用鉛筆、ベスは新しい楽譜。雑貨店のガラス窓から顔を覗かせる四姉妹の幻想的なシーン。
一度は手に入れたクリスマスの品だったが、それは献身的に奉仕活動をしている母に贈るプレゼントに変わった。ツリーの下に置かれた娘たちのプレゼントに帰ってきた母は涙ぐむ。母娘の愛情にグッと来る場面だ。

母は娘たちの寝室を覘いて回る。ベスと一緒に眠っているエイミー。エイミーの鼻には洗濯ばさみが・・・。こうしていると、鼻が高くなると信じているエイミーが可愛い。
お隣のローレンス家の舞踏会に招待される四姉妹、ジョーもローレンス家の孫のローリー(ピーター・ローフォード)に誘われ、人気のない階段下で楽しく踊り始める。

「一生、君のそばに・・・」
ローリーがジョーの耳元で囁く。
「--わかっているわ」
「ずっと君を愛してた」
だが、ジョーは小説を書き上げることを願っていたのだ。

階段の上の物陰でじっと見ているエミーとベス。それを祖父ローレンスに見つかり、ベスはピアノを弾きにくるように頼まれる。メグはローリーの家庭教師ブルックと恋仲になる。

ジョーはローリーと会うのを避けるようになる。何故ならローリーが来ると執筆の時間をくわれるからだ。逃げ回るジョーを追いかけるローリー。このシーンは笑わせてくれる。

マーチ家に異変が起きた。父が負傷しワシントンで入院したというのだ。母はとるものもとりあえず病院に急いだ。そして更に悲運は続いた。母の留守中ベスがしょう紅熱にかかり、意識不明になったのだ。
だが、ベスは命を取り留めたところへ母が急遽帰ってくる。後を追うように父が帰還。メグはブルックと結婚、今度は春が巡って来たのである。

ジョーはローリーの結婚申込みを断り、ニューヨークのカーク夫人の下宿屋へ家庭教師として勤める。そこで、ジョーは音楽好きのベアー教授(ロッサノ・ブラッティ)と知り合う。彼のピアノを聞いたり、オペラの観劇もジョーには楽しかった。

ベアーはジョーに作品のアドヴァイスをする。
「ジョー、君には才能がある」
「本当?」
「もちろんだ、僕の助言を聞いてくれ」
ジョーは期待の眼を向ける。
「”才能を開花させるには、周りのドロを払え”。そのためには”真に書きたいことを綴る。若い間は簡潔で美しい話を書く”。君なら出来る」
「頑張るわ」

ジョーは実家に戻り、ベスの命か旦夕に迫っていることを知る。彼女はベスの身を思い、屋根裏部屋に籠もって泣いた。

そこへベスがやって来た。
ジョーはカモメみたい。強くて野性的で風や嵐が好き。海の上を自由に飛び回る。内気な私と正反対とママが言ってたわ。ジョー、泣かないで。私、天国に行っても見守っていてあげる・・・

ハラハラと枯葉が舞い落ちる庭でジョーは、書き上げた小説の題名を表紙に書き込む。

 『私のベス』
 ジョセフィン・マーチ
ーー今は亡き妹のベスに この作品を捧げるーー

そして、ベアー教授の元へ作品は送られた。彼女は忠告をしてくれた教授にまづ読んでほしかったのだ。

時が経過、叔母と欧州旅行に行き、彼の地でローリーと結婚したエイミーが実家に戻ってきた。メグは双子の世話で忙しい。そこえ教授が訪ねてきた。
「ジョセフィン・マーチさんにこれを渡してほしい」
入り口に出てきたローリーが受け取り、教授は帰っていく。
ジョーが包みを開けると、それは製本された『私のベス』だった。教授の友人の出版社の手で公開されたのだ。
彼女は教授の後を追いかけた。
云いにくそうにプロポーズする教授。ジョーはベアー教授の手を取り、家に誘うのだった。


1949年 アメリカ・カラー 監督 マーヴィン・ルロイ 出演 ジューン・アリスン マーガレット・オブライエン エリザベス・テイラー ジャネット・リー ピーター・ローフォード メアリー・アスター ロッサノ・ブラッティ

ジューン・アリスンに興味のある方は↓
http://plaza.rakuten.co.jp/chokosan/diary/200907120000/


<トピック>

テイラーを夢中にさせたローフォード

「サー」の称号を持つイギリス陸軍の中将を父とするピーター・ローフォード。MGMは上流家庭に育ったこの二枚目の青年と美少女エリザベス・テイラーをコンビ売り出そうと考えた。
1944年「ドーヴァーの白い崖」で初共演、4年後「奥様武勇伝」で再び共演した二人は撮影中に急接近。「若草物語」の撮影中は愛の絶頂期だった。しかし、撮影終了後、ローフォードは旅に出、この恋は終わった。
ローフォードはその後、ケネディ大統領の妹と結婚した。

原作や他の映画「若草物語」と違う点は?

三女ベス、四女エイミーという姉妹の順番が逆になっているのに気がつかれた方はいらっしゃるだろうか。夭折の少女ベス役に当時17才でバスト89cm、ヒップ86.5cmという成熟したリズの肉体はあまりに不自然だ。そのためベスを四女とし、テイラー演じるエイミーを三女に”昇格”させたという。


<一言>
昨今の世相を見るとき、「若草物語」のような家庭は今の日本にあるのだろうかと思う。親子の絆、娘たちの愛情、かっては日本にも存在した”心のやさしさ”が欠如しつつあることを憂う。





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Last updated  2011.01.24 14:44:32
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