絵画の盗作問題について
音楽でも絵画でもそうであるが、芸術のもっとも大事な要素は【作家性】そう作り手の個性の発露そのもの。今回の絵画の盗作問題に思うのは「作家たるもの自身の作品を言葉で補完すべきではない」と言う事。似た構図、同じテーマ・題材といってももし作家個人の表現の自主性が伴っていなければ説明は全て詭弁にしか聞こえてこない。現に作品を見比べてみれば誰でも解る露骨な色調、ディテールの同一性である。子供の頃の学校等での写生を思い出してみるがいい。同じ題材を取上げても子供たちの捉え方の如何にイマジネーション豊かな事か。一つの歌を違う歌手が歌えば、曲の印象・情景まで変わる。同じセッティングの楽器で同じ曲を弾いても弾き手の感性で様々な表現が展開される。書や絵画でも同じ題材・画材・シュチュエーションであっても書き手の個性は自然と形になって提示されるものである。ただ、今回の問題は一画家個人のだけの問題とも言い切れないのかもしれない。現在においてオリジナリティの借用はアレンジという名の下に、いくつもの分野で日常的に行われていることでもあるだけに。ただ、表現者である以上はそれが商業ベースであろうが、孤高の芸術であろうが、作品のみで表されるべき物だと私は考える。