"Lonesome Stone" Original London Cast – Lonesome Stone (1973)
イアン・マクドナルドがキング・クリムゾンを抜け、マクドナルド&ジャイルズで活動した後、ほかのアーチストのプロデュースを手掛けていた70年代。ウルフ、ファイアーバレー、フループなどのアーチストのアルバムを制作していた事については、ファンの皆さんなら充分ご存じだと思います。 その中でも1973年にロンドンのレインボウシアターで行われたクリスチャン系ロックミュージカル「ロンサム・ストーン」については私も今の今まで全く知りませんでした。今回その舞台の音楽をイアン・マクドナルドがスタジオ・レコーディングでプロデュースしたアルバムの存在を知るに至り、さっそく取り寄せてみたのです。 "Lonesome Stone" Original London Cast (1973)ミュージカル舞台公演用の音楽を収録したアルバムには、舞台のプロデューサーが2名記載されてますが、こちらはあくまで舞台のみの演出家たちなのでしょう。その二人とは別にイアン・マクドナルドは、シアター・プロジェクト・サウンド・スタジオでの音楽レコーディングのみをプロデュースしたようです。ですのでステージで上演される作品の音楽のみを収録しており、舞台全体の演劇がどういったものかは伺いしることはできません。上記画像には歌手と演奏家クレジット部分のみ切り抜いてありますが、有名なミュージシャン名は見当たりません。また、イアンは演奏に全く加わってはいませんので、レコーディング現場を仕切っただけだと想像できますね。レコードはリフレクション・レコードから出されてますが、おそらくクリスチャン系の会社なのではないかと思います。LPは丁寧にカッティングされており、他のクリスチャンミュージック同様制作に潤沢な資金が投入されたのかなと仕上がりの良さから推測させます。早速PCでデジタルに取り込んでみましたが、バランスの良い音ががっちりとレベルを吐き出してくれてます。廉価レコードではよく十分にレベルの稼げない浅く細いミゾが彫られたレコードがありますが、このLPに関してはレコデーィングからカッティングに至るまで丁寧に作りこまれた印象があります。肝心のサウンドというと70年代前半のナチュラルなサウンドという風合いで、奇をてらった音は無く、今の耳からだと地味目に聞こえてしまうかもしれませんが、演奏能力はしっかりとして聞こえました。過去に私個人も海外のクリスチャン音楽キャラバン態の来日公演を行く度か担当しましたが、この手の演奏家や歌手も立派なプロフェッショナルでした。それと同じく、無名といえども彼らも相当熟練のミュージシャンたちだったんでしょうね。イアンの歌や演奏は味わえませんが、サウンドをカチッと作り上げるイアンのプロデュース能力の高さを感じさせてくれる一枚だと言えるのでしょう。