英国BRADLEYSというマイナーレーベルから73年に発売されたハンターマスケットの2NDアルバム。ダグ・モーター(ギター、ヴォーカル)、クリス・ジョージ(ギター、ハーモニカ、ヴォーカル)、テリー・ヒスコック(ギター、キーボード、ヴォーカル)、ロジャー・トレヴィット(ベース、ヴォーカル、マリンバ、パーカッション)の4人編成フォークバンドで、デビューは音楽フェスティバル華やかなりし68年のステージ。70年に英デッカよりEvery Time You Move.(LP SDN 20)という1STアルバムが出ていたらしいが、見たことも聴いたことも無く詳細は不明。73年のこのセカンドではプロデュースを元ヤードバーズのキース・レルフが担当し、ゲストに元クリムゾンのマイケル・ジャイルス、ジム・マッカーティ(キースの盟友ですな)、ケン・フリーマンを迎えシンプルながら実に味わい深いサウンドを作り上げている。エンジニアはフィル・ブラウン、アシスタントに80’Sクリムゾンサウンドを支え801ではオルガンも披露していたレット・デイビス。1曲目のJohn Blair、郷愁を誘う乾いたトーンのギターを呼び水にペンタングルやフェアポートとも違う彼らならではのウォーミィな世界が淑やかに展開していく。ベストトラックには4曲目、テリーの手による情緒たっぷりなピアノと憂いを秘めた歌がたまらない Rosie だろうか。これを手に入れたのは77年頃だったかと思うが、残念なことにジャケット紙質がヤワく、表面と裏面の間の糊が経年変化でジャケット周辺を茶色く変色させてしまう上、このジャケットは紙焼けを起こし易い(光の当たらないはずの内側まで焼ける)。また、レコードを保護する内袋が紙製で歌詞も載っているのだが、これまた紙質が悪くレコードを傷める原因にもなっている。何度か買い直して良い状態のLPを手元に置こうと思ったのだが、どうもどれもこれも大差無いほど良い状態のものに巡り合えていない。もしかしたらコストを下げる為に材料など安価な素材を使ったのかもしれないが、それでもこのレコードの珠玉の作品群に水を差すどころか、セピアなポートレイト風のジャケットにかえって味わいを与えてくれるから面白い。近年はディスクユニオン等でCD版も入手できるようだ。個人的に今でも愛聴盤。このアルバムの後、ブラッドレー所属アーティストのオムニバスライブLPも出ていたそうだ。その中に彼らの演奏も含まれていたらしいが何せマイナーレーベル。これまた詳細が判らない。