生来あまのじゃくなもので現在では余り注目も知られてもいないバンドをもう一丁!
アフター・ザ・ファイアーという英国のロックバンド。ピーターバンクスというイエスの初代ギタリストと同名異人のテクニカルなキーボードプレイヤーがいるグループで、82年にDer Kommissar(MCハマーがヒット曲でパクった元歌)という世界的にヒットも出し、深夜に放送されていたオールナイト・フジなんつー女子大生の番組の洋楽情報でも紹介なんぞされたりもしていたな。実はバンド自体の歴史は古く70年代初期から続いているのだ。で、当初はプログレを標榜していたようで78年あたりだったかプログレ情報同人誌「ロックボトム」の英国ライブレポートで「ナショナルヘルス」と共にそのステージの模様が紹介されていた。散々色んな廃盤を聞きかじっていた当時でも彼らの幻の1STLP:Signs of change は聴く機会に恵まれなかったので、内容がわからない(自主制作で4千枚プレスだったらしい)。メインボーカルのアンディ・ピアシーがまだギター担当(メジャーデビュー後はベースになった)で、ステージじゃ50歳くらいのヴァイオリン奏者も参加したりしていたそうだが、どんな感じのサウンドだったのかなぁ?この78年のLPがきっかけか翌79年にはCBSとメジャー契約しデビューとあいなる。しかし時代はパンクムーブメントを経て既にポストパンクの混沌とした状況。テクノチックな演奏とメンバーもお洒落ないでたちで見た目がすっかり変わっていた。メジャー1作目となる LAZER LOVE は、当時出回りはじめたポリフォニック・シンセサイザーのサウンドが時代を感じさせるポップでスマートな作品。プロデューサー陣がまた豪華でRupert Hine, Muff Winwood, Rhett Davious, John Leckieとバンドメンバー。One Rule For You と Laser Love2曲が本国でもスマッシュヒットしたらしい。LP2曲目のインスト曲JOYもプログレともテクノとも違うハイスパートでキャッチーな方向性を示し、他の楽曲もカーズ等が80年代に想像した音楽性を先取りした感があった。80年代にはラップやファンク要素も取り入れたりしていたのだけど、まだこの頃はまだデビューしたての初々しさが瑞々しい。
83年までバンドは活動したらしく、その後ピーターは日本のメーカーAKAIのシンセやマルチトラッカーのデモンストレーター等をしていて、当時のカタログや紹介記事で目にする事もあった。
現在はATF2としてピーター・バンクスを中心に活動を再開しているが、当時とはメンバー構成も違い、ピアシーは参加していない。