UKに繋がるジョン・ウェットンのプロデュース活動で重要な1枚。とはいうものの、当時完全に見落としてて実際に買ったのは2年後の日本盤中古だったから偉そうな事は言えませんが(自爆)。買った時は参加メンバーと内容に目を丸くして驚いたもんだ。
このアルバム制作の当時の1976年といえば、ジョンがビルとリック・ウェイクマンのトリオが頓挫したりしたり自身のバンド構想に苦戦していた頃でありましたな。ある意味このダンカン・マッケイという卓越したキーボード奏者のアルバム制作をした事が、UKへの大きな布石になったともいえる作りとなっている。何せ参加メンバーも曲者揃いだしね(笑)。凄腕クライブ・チャーマンに千手観音アンドリュー・マクローチのリズム隊ですよ♪そら壮絶です。だから後のUKの1STよりも激しい手数なんである。UKでこれくらいの手数となるとやっぱ2NDになるしね(笑)。無論、ダンカンの所属していたコックニー・レベルのスティーヴ・ハーレイやイヴォンヌ・キーリーもセクシーな声を提供しているし、ジョン・ウェットンのヴォーカルやメル・コリンズのクリムゾンチックなフルートも入っている。
ダンカン・マッケイと言う人はイギリス生まれの南アフリカ育ちで元々ジャズ畑のひとだったらしく、好きなミュージシャンにキース・エマーソンを挙げるのも同じジャズ出身というシンパシーもあるのかもしれない。LPのサウンド的にはELPのキースのプレイを彷彿とさせる煌びやかなピアノに閃光の如きパッセージのオルガンやシンセが華やか。ただ使用しているシンセはローランド(当時だと初期のモノシンセであろう)とアープ各種。ダンカン自体どれほどプログレファンから認知されているのか判らないが、コックニーの後にもケイト・ブッシュ、10CC、アラン・パーソンズ、リンダ・ルイズ(!)、キャメル等、その足跡はなかなかのキャリアとなっている。実力も作編曲能力もかなりのもんである。
実際どうなんだろう?76~77年あたりのジョンとビルのバンド構想(クリムゾンの復興)がUKへ行き着くまでに、このLPも一種のプロトタイプとして聴くことも出来るんじゃないかな?そういう意味では、エイジア前のジョンの「クロスファイアー」やフォリナー前のマクドナルドの参加した「イアン・ロイド」と等しく捉える事も出来ると思うのだが。
UKやエイジアはもちろん、ジョンのファンなら聞いて損はない、はず(笑)。
フループの項追伸:前回取り上げた、フループ4TH。マクドナルドの哀愁のサックスプレイがお好きな方にはおすすめでござる。Fruuppとは彼らのリハーサルに現れた幽霊の愛称から来ている。当時はジェネシス並みのシアトリカルなステージが話題だったらしいが、今となっては知るすでもない。(プログレ以外で取り上げているLP等はホームよりご覧ください。)