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テーマ:キングクリムゾン(654)
カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
偶然であるが前回に取り上げた邦題にまつわる意見と同様な考えを示している所があるのを発見した。
===邦題を守る会=== http://boat.zero.ad.jp/floyd/japanese-titles/top.htm 邦題の偏移に対しての意見は前にも述べたので今回はこの曲の制作経過を少し振り返ってみようと思う。 68年のバンド編成の混沌もグレッグの加入とマネージメント決定で落ち着き、年末年始の準備を経て69年頭よりのリハーサルから驚異的な化学変化を遂げていった。それはイアンの語る「誰か一人が意見を押し付けるのではなく全員の意見が有機的に昇華していく共同作業」であったらしい。 バンドが注目を浴び始めムーディ・ブルースのプロデューサー、トニー・クラーク(エンジニアはストーンズ等で知られるアンディ・ジョーンズ)の手により最初のレコーディングがロンドンのモーガン・スタジオにて行われた事はファンの方なら知っている人も多いだろうが、バンド側と意見が合わずに失敗に終わっている。イアンによるとこの時のセッションで21世紀の精神異常者は演奏されていたようだが他の曲に付いては不明との事である。 バンドサイドは自分たちの作品を「単にレコーディングしたかっただけ」といい、トニー流儀の制作での指示の押し付けや狭い当時のモーガンの環境での録音結果にも不満が出て初段階で暗礁に乗り上げてしまったらしい。モーガンヴァージョンが残っているのかは不明だが、イアンによると後の自己プロデュースの1STアルバムで自分たち望む形に変わっていったと述べている。 自らのプロデュースで制作が行われた頃にはバンドも作品をライブにて相当練り込んでいただけに、この21世紀の精神異常者を録音する際もマイクチェックやリハーサルしたあと、通し一発でベーシックトラックを完成している。 例のボーカルの部分は70年代には研究諸説がありバンドの複数メンバーが1本のマイクで同位相になるように収録しているとの分析もあったが、イアンによると「当時の録音は8トラックだったので限られた中でやるしかなかった。ベーストラックでもグレッグは歌っていてその上にオーヴァーダビング」と語られており真相が解明された。 印象的なオープニングの謎のノイズはクリムゾンキングの宮殿でも使用されている木製の小型パイプオルガンのキーを多数押す事でエアー圧力が音階振動を発せず拡散ノイズになるのを利用している。(リハーサルでは意図されていなかったがスタジオ入りした時にオルガンがあったので使われたらしい。) あの混沌とした2度目のエンディングも最初意図されていた訳ではなく、録音時にイアンが仕掛け、全員がその乗りに合わせた物だと語られている。ライブで練り上げた以上にメンバーが様々なアイディアを出し合い、イキの良いままに収音されたのがあの絶妙な作品として結実したのであろう。 ちなみにアルバム完成後のライブの音源では、アルバム同様にエンディングに2回フリークアウトしている演奏があるのは、ご存知の方も多いんじゃないかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 29, 2005 03:03:16 PM
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