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カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
60年代末期のテクノロジー発達による音響技術革新や新しい楽器・周辺機器の登場は、混沌と何でもありの状況を時代の熱気の中で沸騰させたが、たくさんの芽の中からは様々なスタイルのロックバンドが排出され、中でもクラシックやジャズなど様々なスタイルを貪欲に取り入れて個性的なバンドが数多く生み出され、そのフォロワーも含めて70年代初期にはプログレッシヴロックという造語と共に一大ムーブメントを巻き起こした。バンドでも宅録でも経験者なら判っていただけると思うが、音楽と言う物は探求好きな人間の欲求を刺激してくれるもので、凝ろうと思い出すととめどが無くなるもの。過去、多くのロックバンドもその成長の過程で劇的にサウンドを変貌させていく例が数限りなくあるが、プログレバンドの場合は特に技術的にもサウンド的にも曲作りにおいてもどんどん深化してく傾向があるように感じられる。
ただし、余りに音楽性で凝りだすと、普遍性や一般性との乖離が出るのはこれまた芸術における宿命でもあったわけで、商業的に割り切れないバンドの多くは、70年代中期からの商業的に成熟した音楽産業に飲み込まれていってしまった。 70年代後期、パンクロック台頭前後には多くのメジャーなプログレッシヴバンドもその志向を時代に合わせたり、はたまた合わせようとして外したり(決してラヴビ-チを指してる訳ではないw)、解散や再編を織り交ぜ生き残りを計っていったのはファンなら周知の歴史である。その後、プログレとしてのジャンルの再ブームには至ってはいないが、いくつかのバンドは商業的に大ヒットを放ったし、ライブツアーで健在振りを示して人気を維持するグループもあった。ただ、70年頃にカオスの中から次々と新たな刺激性を示してくれた時の様な、新たなうねりではなく、あくまでも回顧的な人気というのも否定できない部分もあった。 さて、それではプログレと呼ばれるその実験性や貪欲な音楽スタイルは今、いったいどこにあるのだろう?80年代に多くのミュージシャンが、ドラマティックでタクティカルな音楽性で映画や映像の世界へ参加したが、映画音楽や劇伴の世界こそ元来ドラマ性が重要視されてきた分野。故に多くのコラボレーションが残され、特にSF作品やアクションモノ、そしてアニメの分野に広がりをみせた。また90年代以降はゲームミュージックでプログレの根を確実に広めてきたとも言える。プログレにしても80年前後のテクノにしても時代を経過する内にミュージシャンや作曲家たちの中で昇華され、今や改めてプログレと言わずともアーチストたちの個性の要素として今後もその多くのスタイルが生かされていくではないだろうか。 なーんて長文でぐだぐだ書きましたが、要は楽しませてこその音楽でございます。ニコニコ動画などのユーザーたちは初音ミクやその仲間たちに多くのプログレナンバーを歌わせていますし、バンドではなく個人レベルで演奏や曲作りを楽しめる様になったのは今の時代ならではの楽しみ方といえるでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 11, 2010 01:46:17 AM
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