HERO
「里山裕一郎さんは結婚式を数日後に控えた夜、突然命を奪われ32年の人生を終えました。彼の心臓が2度も止まりながらまた動き出したのは、生きたかったからじゃないでしょうか。彼には幸せにすると約束した大切な人がいたからです。」テレビドラマには持って来いの脚本と言うものがある。何を隠そう、その代表格がこの「HERO」ではなかろうか。それもそのはず、この作品は2001年にフジテレビ系列で放送され大ヒットを記録したドラマなのだ。それを今回はあえて劇場版にしたというわけだ。そういう意味で、気心知れた仲間たちと、意気込みを新たにして作り上げた作品は、スタッフ・キャストともに充実感に満ち溢れていたのではなかろうか。鈴木雅之監督も、多くのテレビドラマの演出を手掛けた人で実績があり、高視聴率を獲得して来た敏腕演出家である。本作でもその手腕が多いに発揮されているように思われた。検事・久利生公平は同僚の芝山に代わり、芝山が起訴した傷害致死事件の公判検事を任されることになる。本人が自白しているため、早期に決着がつくと思われていたところ、裁判で容疑者が一転無罪を主張。何とその容疑者には敏腕弁護士・蒲生がついていた。蒲生は元検事で、検察庁の手法をよく心得ていた。そのため冷静な法廷戦術で久利生を追い詰めていく。そんな久利生を事務官として支える雨宮舞子は、気の遠くなるような地道な作業で証拠探しに奔走するのであった。文句なしの人気タレント木村拓哉は、そのルックスとかもし出す雰囲気で、多くの視聴者を魅了したはずだ。また、松たか子とその父・松本幸四郎の親子共演も話題を呼んだ。さらに、お笑いタレントのタモリもチョイ役だが出演しており、堂々と演じていた。テレビドラマの延長線上として観たら、あまりにも豪華でそうそうたる顔ぶれの俳優人に誰もが胸を躍らせることだろう。キムタクファン必見であることは言うまでもないが、テレビドラマを愛する人、テレビドラマの脚本や演出に興味のある人にとってもすばらしいお手本となる作品ではなかろうか。リアリティーよりもドラマ性を重視した、テレビドラマの王道をこれでもかとばかりに披露してくれるのだ。2007年公開【監督】鈴木雅之【出演】木村拓哉、松たか子また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)