ライセンス・トゥ・キル
「この悲劇の犠牲者、リン・ピータソンに選択権はありません。フィクス氏が彼女の有望な人生を奪った事を許せません。いかなる法廷であれ正義を主張できないなら正義は無効です。あなたが他人の生命を軽視したと確信します。」車社会アメリカでは、80年代にはすでに飲酒運転による過失致死が社会問題になっており、この作品はTVドラマとして製作されたようだ。日本でも毎年のように飲酒運転の犠牲になってしまった人たちがいて、今日もその遺族たちが哀しみの涙に暮れている。各人の嗜好については誰もとやかく言う権利はない。だがそのことによって誰かに迷惑をかけるのならば、話は別だ。アルコールを摂取した時点で我が身を凶器だと思えば間違いない。年末になると、必ず見かける道路脇の吐瀉物。歩道を行く者には不愉快極まりない光景である。身に覚えのある方はくれぐれもマナーを守って欲しい。切に、切に願う。高校を優秀な成績で卒業し、両親にとっては自慢の娘であったリン。彼女はマサチューセッツ工科大学への進学も決まっており、順風満帆のはずであった。 しかしそんなある日、妹のエイミーを友人宅まで車で送った帰りに飲酒運転をするフィクスの車と衝突。リンは救急車で搬送され、大手術を施されたもののその甲斐もなく息を引き取ってしまうのだった。この作品では、飲酒運転による事故の刑事訴訟がいかに手間で、面倒なものかが窺える。 訴訟を起こすための手続きに出掛けたリンの父親が、役所の窓口係に事務的でそっけない応対をされてがく然とするシーンは、思わず目を背けたくなった。だが日に何十件、何百件もの訴訟を処理しなければならない役所側の立場も考えると、何も言えなくなってしまう。一方、加害者である飲酒運転をした当事者は、殺人の意識もなく、ただただ保身のために手を尽くし、良心のかけらもない態度に釈然としなかった。こういう社会悪は世の中から抹殺されてしかるべきなのだ。禁固2年の刑は、あまりにも軽すぎる。将来を約束された少女の命を奪った罪は、もっと重く、苦しいものでなければいけない。 この地球上から飲酒運転を撲滅したい。酒に溺れ、己に溺れた者に明日はないのだ。1983年(米)TV向けに製作【監督】ジャド・テイラー【出演】ジェームズ・ファレンティノ、デンゼル・ワシントンまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)