最高の人生の見つけ方
「初めて言うわ。月並みなセリフだけど・・・部屋を取ってあるの。」「それは・・・つまりそういう・・・? うれしいよ。だが私は・・・」「(それほどまで愛されて)幸せな奥様ね。」「私が“幸せな夫”なんだ。」 とてもシンプルな哲学なのに、人は皆そこから目を背けがちだ。誰もが死に対して恐怖を抱き、不安に怯える。必ず誰もが通る道であるのに。昔は年寄りが家で亡くなるのが普通だった。ある朝「ご飯だよ」と、年寄りを起こしに行くと冷たくなっていたなんてことはザラにあった。だから死というものが、いつも身近なところで感じられたわけだ。だが現代は医学の発展とか、核家族化に伴って年寄りは病院や施設で亡くなるのが当たり前になっている。死が他人事のように感じられるのは、仕方のないことなのかもしれない。常日頃から死に対して意識を強化するのが良いとは、必ずしも言えない。それに囚われてばかりでは、人生なんてつまらない一生で終わってしまうからだ。ただ、頭の片隅にでも、どんな善人悪人問わず必ず等しく訪れる道であることを留めておくのは、有意義なことかもしれない。 自動車整備工として家族のために地道に慎ましく生きて来たカーターは、ガン宣告を受け入院。一方、実業家として成功し、巨万の富を得たエドワードも同様に入院。二人は相部屋で、共に余命半年の末期ガンであることが分かり、いつしか共鳴する。カーターが死ぬ前にやっておきたいことをメモした“棺おけリスト”を目にしたエドワードは、「自分には金だけは充分ある」と言って冒険の旅に誘うのだった。 本作において、よけいな批評は慎むべきであろう。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンというハリウッドの名優が表現した世界観を、ただただ堪能するに限る。この作品のテーマは?それは、彼らのセリフのそこかしこから感じられる、甘美なポエムのようだ。名言なので、あえて紹介しておこう。 We live,we die.Wheels on the bus go around,and round.(人は生き 人は死ぬ。世の中はその繰り返しだ。) 2007年(米)、2008年(日)公開【監督】ロブ・ライナー【出演】ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)