トランスポーター
「私の持論だが、愛車を磨く男は自分も磨く。」「その通りさ、警部。」「(アハハハ・・・)外国人にしてはユーモアがある。フランス式の皮肉。分量もスパイスほど。」作品冒頭部のつかみは実に良かった!思わず惹き込まれていくしかけになっている。リズミカルなシナリオが効果的だったのか、はたまた演出か、あるいはアクションか・・・?主人公の役割とかキャラみたいなものが、この触りのシーンだけでギュッと凝縮されていて、明快なストーリー展開に成功している。主役を演じたジェイソン・ステイサムも、おそらくこの役柄に惚れ込んでいたのではなかろうか。ギスギスした陰鬱なマフィアや、正義感に燃える熱血刑事などではなく、スタイリッシュで腕力にも自信のある元軍人という設定。なんだかジェイソン・ステイサムが二つ返事でこの役柄を引き受けた様子が目に浮かぶのだ。(←あくまで吟遊映人の勝手なイマジネーションなのであしからず。)退役軍人のフランクは、南フランスに在住のプロの運び屋として、どんな依頼品も時間厳守で正確な目的地へと届ける。その任務遂行のためにいくつかのルールを、依頼人にもまた自分にも課すのであった。 しかしそんな中、依頼品としてバッグを渡されたところ、中身を不審に思ったフランクは、ルールを破りバッグを開けてしまう。そこには、手足を縛られ口をふさがれた東洋人の女性がいたのである。この作品の見どころは、やはりカーチェイスであろう。主人公の設定が“運び屋”ということもあり、車の運転には自信があるというわけだ。 パトカーに囲まれ、四面楚歌の状況下にあっても慌てない、必ず道は開ける・・・という妙な爽快感さえ覚える。残念なのは、ラストシーンでヒロインが実父に銃口を向けるシーン。ここはやはりフランクをかばってヒロインが父に撃たれ、娘を撃ってしまった父が泣き崩れて己の罪の重さを改めて思い知る・・・的なしめくくりはどうだろうか?エンディングはうずくまる父を警察が連行、フランクの腕の中でヒロインが息絶える・・・あ、この結末はあまりにベタ過ぎてありがちかも。やっぱりヒロインが実父を撃つことでエンディングが正解か。いずれにしても、カーアクション映画としての完成度はとても高い作品に仕上げられている。2002年(仏)、2003年(日)公開【監督】ルイ・レテリエ、コーリー・ユン【出演】ジェイソン・ステイサムまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)