サーフズ・アップ
「俺が子供の頃来訪した。南極始まって以来の大イベントさ。気づくと彼(ビッグZ)が・・・波の上に。まるで空中に浮かんでるかのように。大勢いたのにまっすぐ俺のとこへ来てこの“ビッグZ・ペンダント”をくれたんだ。そしてこう言った。“あきらめずに道を探せ。それが勝者だ”彼は最高だった。」この作品はペンギンが擬人化されていて、ちょっとしたドキュメンタリー風のストーリー展開になっている。パッとしない生活をおくっている者が、何か一つ光るものを見つけてそれに情熱を注ぐというサクセス・ストーリーは、わりとありがちだが、それを“ペンギン”という可愛い動物に置き換えたのがユニークだ。例えば、ウディ・アレン監督の「ギター弾きの恋」は、主人公エメット(ショーン・ペン)が天才ギタリスト・ジャンゴを崇拝していて、自分も少しでもそこに近づきたいと願うジャズ・ギタリストの話だった。これも実際にはエメットなどと言うギタリストは存在しない、架空の人物なのだが、エメットと接点のあったと言われる人物たちが取材に応じてその人となりを語る・・・的なドキュメンタリータッチの作風になっている。そういう前例があるとは言っても、「サーフズ・アップ」はユニークな脚本・演出・CGで作品を完成度の高いものに仕上げている。ペンギンのコディは、子どものころから“ビッグZ”を神様のように尊敬していた。ビッグZとは伝説のサーファーで、コディもビッグZのようなサーファーになることを夢見て、家の仕事もろくにせずサーフィンに情熱を注いでいた。そんなある日、“ビッグZ記念杯”という大会への出場をスカウトされたコディは、大会の舞台となるペングー・アイランドへと出向くのだった。テーマはいたってシンプルだ。それは、趣味は趣味として楽しもうということ。そこに勝ち負けや実益などが絡み合うと、趣味ではなくなってしまうという警告でもある。人はいつだって勝負根性や利害に囚われてしまう浅はかな生きものである。だが、自分が心から楽しみたいと思ったら、欲を捨て、己を解放して打ち込むことが大切なのだと教えてくれる。子どもに限定しない、大人向きでもあるアニメ映画なのだ。2007年公開【監督】アッシュ・ブラノン【声の出演】コディ・・・シャイア・ラブーフ、ビッグZ・・・ジェフ・ブリッジスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)