クローズZERO2
「俺はヤクザに向かなかった・・・ってことなのかな」「俺は後悔してねぇ。・・・美藤のことだ。鈴蘭の負けは見えてた」「だからって言って刃物振り回していいってことにはならねぇぞ」時代に左右されることのないのは、青春期のカオスであろうか。誰もが自分の存在理由を突き詰めたいと思うし、自己主張したいと願う。逆に、自分を押し殺して決められた枠の中を這いつくばって生き抜く者もいる。何が正しくて、何が間違っているのか、杓子定規で計ったような正義に跪くのがイヤで、他人とは違うことをやって目立とうとする。ドロドロとしていて、混沌としていて、何も見えない、見ようとしない現状。それが青春だ。本作「クローズZERO2」は前作の続編であるが、やり場のない鬱屈したエネルギーを喧嘩という手段で発散していくプロセスは、何ら変わるものではない。頂点を取り、己の存在価値を自他ともに認めさせるべく日夜喧嘩に明け暮れる。そんな修羅場があっても良いだろう。2年前、鈴蘭高校のリーダー的存在であった川西は、鳳仙学園と戦った際、鳳仙の王者・美藤真喜雄をナイフで刺し殺してしまった。以来、少年院で服役していたのだが、ついに出所。川西の出所を待ち受けていたのは現在の鳳仙の王者・鳴海であった。かつて鈴蘭との抗争で命を落とした美藤の仇を討とうと、てぐすねひいて待っていたのだ。本作では小栗旬がとてもいい味を出している。ふて腐れたような態度や、どうしていいのか分からず途方に暮れる姿など、演技に込められた熱を感じた。グリコのCMでは大人になったイクラ役を演じたり、大河ドラマ「天地人」では石田三成役を好演し、今とても脂の乗った役者さんであることは間違いない。学校という限られた社会の中で、絶え間ない葛藤と軋轢の中をひたすら疾走する男子たちの姿は見ものである。青春真っ盛りのティーンはもちろん、大人たちも社会常識などに縛られず、我を忘れて鑑賞して頂きたい。熱い青春学園ドラマなのだ。2009年公開【監督】三池崇史【出演】小栗旬、山田孝之、やべきょうすけ