吟遊映人ア・ラ・カルト(’09)
今年は信州善光寺において、七年に一度のご開帳が行なわれた。時代の流れとともに変貌を遂げてゆく人・物・風景。だが神仏だけは、千年の時を経てもそのスタンスを変えることなく、救いを求める人々の傍におられるのだ。巷に吹き荒れる不況の嵐、混沌とした政治。何が正しく何を信じて良いのか分からない世知辛いご時世の中、人々は誰もが幸せになりたいと願い、宗派を超えて参拝する。ご開帳期間中、本堂前に凛と建立された回向柱。この回向柱と本堂内に安置されている前立御本尊の御手は結ばれている。そのため、この回向柱に触れることで御本尊のありがたい功徳を得ることができると信じ、人々は我先にと群がる。「苦しい時の神頼み」と言うだけあって、我々はふだん神仏に対し余りにもおざなりにし過ぎはしまいか。本来、順調な時ほど今ある幸せを感謝しつつ神仏に手を合わせる心がけが必要なのではなかろうか。しかし、かく言うこの吟遊映人も、ややもすれば仏壇にお線香の1本さえあげるのを忘れることもあり、日々の継続がいかに難しいことであるかを改めて思い知らされる。我々はいにしえより神仏を尊び、神仏とともにあることを善しとして来た。時を越え、古い伝統と新しい現代が共存する中、信仰のかたちは変わらない。その信仰は、人々に希望という光を与えてくれる。決して生き易い世の中ではないが、その一筋の光を支えに前進して行こうではないか。 さて、今年も残りわずかとなった。一年を通し、様々な映画と出会い、向き合うことが出来た。一つの映画は数ある作品のうちの一つでしかない。だが、その一作が我々に夢や希望、感動を与えてくれる宝の山となるのだ。本年も吟遊映人のつたない記事を閲覧していただき、誠にありがとうございます。どうか皆様、良いお年をお迎え下さい。合掌「希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない」~『ショーシャンクの空に』より~また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)