ロビン・フッド
「俺たちは運に恵まれている。(彼との)約束を守りたい」「何のことだ?」「剣に彫られた言葉に覚えがある。俺の幻想かもしれないが・・・剣を持ち主に届け、子息の遺志を叶えたい」「ロビン・フッド」という物語はあまりにも有名で、今さらという気がしないでもないが、これは中世イングランドの伝説である。実際にあった出来事に尾ひれはひれが付いて、吟遊詩人によって諸国に広められたというわけだ。舞台がイングランドということもあってかどうか、監督はイギリス人であるリドリー・スコットで、代表作に「エイリアン」や「グラディエーター」などがあり、闘いをロマンに変化させることに定評がある。90年代にもケヴィン・コスナーの演じる「ロビン・フッド」が製作されたが、興行的にはどうだったであろうか?吟遊映人は、ケヴィン・コスナーの「ロビン・フッド」を劇場で観たが、悪役のアラン・リックマンのインパクトが強すぎて、完全にケヴィン・コスナーが食われてしまっている記憶が残る。さて、今回はラッセル・クロウが演じたわけだが、なかなかどうして素朴で厭味がなく、実に好感の持てるロビン・フッド像に迫っていた。本人もこういう役柄を好しとする傾向があるのではなかろうか。12世紀末。十字軍の兵士として戦っていたロビンは、雲行きの怪しい戦いに、早くも見切りをつけていた。そんな中、イングランドの兵士たちが待ち伏せを受け、殺害される現場に差し掛かってしまう。まだ息のあるイングランドの騎士、ロバート・ロクスリーの傍に行くと、ロビンはあることを頼まれる。それは、ノッティンガムへ行き、ロバートの父であるサー・ウォルターに形見の剣を届けて欲しいという願いだった。マリアン役のケイト・ブランシェットはすばらしかった。代表作に「エリザベス」や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどがあるが、演技派として中堅女優では、この女優さんを置いて他にはいない。正しく、“ポスト・メリル・ストリープ”であろう。吟遊映人は、エマ・トンプソンかケイト・ブランシェットかというぐらい、この女優さんが大好きだ。余談になるが、ジョン王がやっとゴドフリーの裏切りに気付いた時、ゴドフリーのことを“ユダ”と呼ぶ。これは聖書的な表現で、イエス・キリストを裏切った十二人の弟子の一人であるユダを指している。つまりユダとは、裏切り者の代名詞というわけだ。「ロビン・フッド」という物語が何度となく映画化され、愛されるのは、自由と正義のために戦う勇ましい義賊を英雄視する、アングロ・サクソン民族の血が騒ぐのかもしれない。2010年公開【監督】リドリー・スコット【出演】ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェットまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)