RED/レッド
【RED/レッド】「これを見せてやる。生涯の恋人に撃たれた傷だ。許されざる恋だった。その彼女が今、この家の外で・・・ウォッカを飲んでいる・・・胸に3発だ。生きて目覚めた時、再び彼女の愛を知った。頭を撃てば死んでたのに。危険を冒して私を助けた。恋は人にバカなことをさせる」四の五の言う前に、ハッキリさせておこう。本作「レッド」は、最高のエンターテインメント映画であり傑作だ。このおもしろさはDVDレンタルでは久しぶりかもしれない。オール・スターズだから良いというわけじゃない。比較するのも憚られるが、最近注目された「エクスペンダブルズ」を思い出してみるがいい。オール・スターズを銘打ったわりに、なんとなく今一つに感じた視聴者もいるはずだ。 ところが本作「レッド」は、役者らが個人的にむやみやたらと目立つような場面がなく、とてもバランスの取れた演出に仕上がっているではないか!無論、役者自身の個性が潰されることなく、互いに相殺し合い、実に見事な連携プレーなのだ。吟遊映人が特に気に入ったシーンは二つ。一つは、CIAのオフィスに侵入したフランクとサラのシーンだが、一方でフランクがCIAのエージェントと密室で格闘している最中(ちなみにBGMはエアロスミスだ!)、サラは喫茶室(休憩室?)で心細く待っているのだ。とりあえず開いているフォーブス誌がさかさまというのも、彼女の不安げな気持ちを表している。この両者のシーンが交互に映されるのがおもしろいと思った。そしてもう一つ。それはイヴァンが、恋する男フランクに自らの恋を語るシーンだ。わざわざ自分の胸元をはだけ、古傷を見せて慰める場面なのだが、やっぱり英国人俳優は違う。ブライアン・コックスの詩的な言い回しに思わず酔いしれる。フランク・モーゼズはCIA退役者で、今や年金生活の暮らしをしていた。役所の年金課に勤務するサラとは電話友達で、何かと用事を作っては電話をかけていた。 そんなある晩、フランクの家に狙撃部隊が侵入。だがフランクは難なくこれを片付け、その足でサラのアパートへと向かうのだった。フランクの命が狙われている以上、フランクとつながりのある者は皆危険なため、サラを一人にしておくわけにはいかなかったのだ。その後、フランクはかつての仲間であるジョー、マーヴィン、それにヴィクトリアらと合流するのだった。ほんのチョイ役だがリチャード・ドレイファスが出演しているのも見逃せない。80年代、青春映画として大ヒットした「スタンド・バイ・ミー」の主人公ゴードン(大人になってからの)役である。介護施設で世話になっているジョー役モーガン・フリーマンも、キャスティングとしては申し分ない。肝臓ガンを患い、余命いくばくもないという役柄なのだ。どの出演者が欠けても成功し得なかったであろう本作は、近年まれに見る素晴らしいアクション・コメディなのだ。2010年(米)、2011年(日)公開【監督】ロベルト・シュヴェンケ【出演】ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンパワーアップかなった続編『REDリターンズ』はコチラ