シャイニング
【シャイニング】毎日毎日うだるような暑さが続いて、やっと恵みの雨とともにひとときの涼を感じたのもつかの間。再び残暑の厳しさに見舞われている。加齢とともに真夏の異常な暑さと冬の寒さは身体にこたえる。とくに残暑というのは、疲労の蓄積も加算されてうんざりだ。冷房のキンキンに効いた部屋にいて、足腰を冷やすのはイヤだし、冷たい物を飲食して内から冷すというのも短絡的すぎる。さて、そんな折にはどうしたら良いのか? やっぱ映画でしょ!それもホラー(笑)私にはこれが一番の涼なんだな。本当は思いっきりのB級ホラーを見たいところなのだが、こちらの管理人である相棒が、どうもホラーには触手を伸ばしてくれない。(いつもアクションや戦争モノばかりピックアップするんだから、やんなっちゃうよ)そんなわけで、iTunesで一人ひそやかに『シャイニング』を鑑賞してみた。古い作品だが、メンタルを脅かされるような恐怖感を味わえて、本当に良かった! 舞台がコロラド州の雪深い山奥で、冬の間はお客さんの来ないホテルという設定もイイ。さらに、主演のジャック・ニコルソンの狂気に憑りつかれた演技はスゴすぎる!あまりにもリアルでゾクゾクさせられっぱなしだった。 ストーリーはこうだ。コロラド州の雪深い山中にあるリゾート・ホテルは、冬期の間、閉鎖されている。その間、ホテルの管理人としてジャック・トランス一家が住み込みで働くことになった。ジャックは面接の際、支配人から、「このホテルは以前の管理人であるチャールズ・グレイディが家族を斧で殺害し、その本人も自殺したという過去がある」という事実を聞いた。原因は、外界と隔絶された孤独な環境から発狂したとのこと。それでもジャックは了承し、妻と一人息子のダニーをつれて、管理人の仕事を引き受けた。そんな中、ダニーは引っ越すことに気がすすまなかった。友だちのいないダニーは、自分の中にトニーという人物を作り上げていた。そのトニーがホテルに行くことに反対していたからだ。ダニーには不思議な能力が備わっていた。これから起こる惨劇を予測するかのように、ダニーは幻影を見る。それは、エレベーターの扉から滝のように流れ出るおびただしい血の海や、不気味な双子の少女が立ち尽くす姿だった。いざ、一家三人だけの孤独な生活が始まってみると、やはり、ジャックのようすが明らかにおかしくなっていくのだった。 『シャイニンング』の原作はスティーヴン・キングで、監督としてメガホンを取ったのはスタンリー・キューブリックだ。この二人がタッグを組んで成功しないわけがないと思った。事実、興行的には成功している。だが、意外にも原作者であるスティーヴン・キングは、スタンリー・キューブリックを批判したとのこと。(ウィキペディア参照)理由はいくつかあるようだが、ここでは省く。私のように、ホラーを単なる夏の風物として楽しみたい者にとっては、とにかく背筋の寒くなるような内容でありさえすれば良い。その点、『シャイニング』は最高にコワい!何がコワいのかよく分からないのだが、ゾンビやエイリアンが登場するわけでもないし、人が次から次へと殺されていくというものでもない。 とはいえ、ところどころツッコミを入れたくなる箇所はある。「ダニーの超能力が全然発揮されてないし」とか、「ジャックは冒頭から何かやらかしそうでヤバイ感じだし」など。何でもそうだが、結果として楽しめたのだから、そんなちっぽけなことなど問題ないと言ってしまっても差し支えないかも。自信を持って言えるのは、ホラー好きには必見の逸作であるということだ。 1980年公開【監督】スタンリー・キューブリック【出演】ジャック・ニコルソン