かんなみ仏の里美術館
台風一過。今年も大型の台風に見まわれまして、全国のあちらこちらに傷跡が残りました。皆さんのお宅が、どうか無事であることをお祈り申し上げます。そんな折、私は定例のお墓参りに出かけて来ました。なにしろお墓を守るのは一人娘である私の使命ですからーーそのバトンを引き継ぐのは、やはり私の一人息子ですが、さて、どういうものでしょうか?盂蘭盆に対する意識は希薄だし、ましてや迎え火・送り火の儀式さえ私は教えず、ここまで来てしまいました。日々の生活に追われて、神仏を敬う気持ちを教えてこなかったと言うのは簡単ですが、突き詰めれば、もっと違う何かが私の意識を歪んだものにしたのかもしれません。先月半ば、母方の叔母が85歳で亡くなりました。朝、家族が気づいたら、ソファーでうたた寝をしているように息を引き取っていたとのこと。なんとも羨ましい臨終だと思いました。テレビが小さな音で点いたままだったと言うので、前の晩、ドラマか何か見ていたのでしょうか?そのうち眠くなり、まるでロウソクの灯りが消えるように、全うしたのでしょう。「ピンピン、コロリ」と亡くなるのを人生の目標に掲げる人は多いと思いますが、こればっかりは自分の望むようにもいかず、難しいものですーーさて、話を戻しますが、お墓参りの先は伊豆・韮山にある由緒正しいお寺。でもその日はよりにもよって、35度を超える酷暑に見まわれました。息子と2人で簡単にお墓の掃除を済ますと、お花を供え、お線香をあげて、早々に引き上げることにしました。とは言え、せっかく伊豆まで時間をかけて来たのだからと、少しだけ寄り道をすることにしました。最近はめっきり神仏への憧憬とか敬愛とか、人として大切なものをなおざりにしていた感覚があったので、『かんなみ仏の里美術館』まで足をのばしてみることにしました。それにしてもここまでは車と言えども遠い遠い。ナビがなければ、ちょっとすんなりたどり着けるような場所ではありませんでした。なにしろ周囲には目じるしのようなものが何もなく、山の斜面のようなところに建物があるのです。車一択でのアクセスと言っても過言ではありません、、、(電車・バスが近くまで通っていません)初めて訪れる人にとって違和感を覚えるのは、〝一体なぜ人里離れた限界集落のようなところに、このような華美な美術館が建てられたのか?〟と言うことでしょう。私も以前から不思議で仕方がありませんでした。入館すると、ボランティアの方が約20分ほど丁寧に解説をしてくれます。(頼まなければボランティアの方は付きません)解説によれば、この美術館のある函南町(かんなみちょう)桑原地区では、平安時代の薬師如来像や鎌倉時代の阿弥陀三尊像などを地元の人々が子々孫々にわたり守って来たのだそうです。ひとえに、仏に対する信心深さゆえでしょう。お薬師さんや阿弥陀さん以外にも、二十四体の仏像群が残されているのですが、それらも含めて後世に保存継承していくこととなったのが明治30年代。長源寺の裏山に薬師堂を建てて、そこに安置されることに。結局、これだけの貴重な文化財を地元住民の有志だけで守り抜いて行くことに限界を感じ、函南町に寄附されたと言う経緯だそうです。拝観できる仏像はどれも保存状態が良く、見事なものです。国指定重要文化財となっている阿弥陀さんと、その脇侍像もさることながら、県指定有形文化財のお薬師さんも、じっくり向き合っていたくなる不思議な魅力にあふれているのです。美術館の所在地がへんぴなところにあるため、決して気軽に行ける場所ではないのが残念ですが、向学のために足をのばしてみるのはいかがでしょうか?それにしてもこちらの美術館、お土産コーナーとか喫茶コーナーとか一切ありません。残念。外観はとても立派で綺麗な建物なのに、ポストカード1枚売っておりませんでした、、、集客数を増やすためにも、一考必要なのではと思われます。(私が出かけた時、他にお客さんはいませんでした)『かんなみ仏の里美術館』をもっと活気あふれる町の名所とするためにも、行政にはより一層の観光推進に励んでいただきたいと思いました。開館時間 : 午前10時〜午後4時半休 館 日 : 毎週火曜日観 覧 料 : 大人300円、小中学生100円※JAFの会員割引ありそして毎度お馴染み、お節介でオジャマ虫の筆頭管理人からはコチラ(^o^)/とはいえ当方は吟遊さんとは違い、仏像はあくまでも信仰の対象であり、拝んでナンボですけどね。南無観世音菩薩(^人^)~~~~~~~~なおご参考まで。当ブログでは200冊以上の読書案内を投稿しております。ご覧いただけましたら幸いです。★吟遊映人『読書案内』 第1弾(1~99)はコチラから★吟遊映人『読書案内』 第2弾(100~199)はコチラから★吟遊映人『読書案内』 第3弾(200~ )はコチラから