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2017.06.11
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カテゴリ:映画/歴史・伝記
【カポーティ】
20170611

「たとえて言うなら・・・ペリーと僕は一緒に育ったけれど、ある日、彼は家の裏口から出て行き、僕は表口から出た・・・と言うことだよ」

前回見た『アニー・ホール』に、トルーマン・カポーティのそっくりさん役としてご本人トルーマン・カポーティが出演していた。
それを見たらなんだか無性に『カポーティ』を見たくなってしまった。
カポーティと言えば映画『ティファニーで朝食を』の原作者でもあり、アメリカではたいへんな人気作家であった。
とはいえ、その独特な風貌と喋り方などから注目を浴び、何かとメディアの標的になったようだ。
カポーティのスゴさは、何と言っても同業者である作家たちの中にもたくさんファンがいるということだ。
たとえば村上春樹はカポーティを敬愛し、『ティファニーで朝食を』を翻訳もしている。
あるいは松本清張などは『ミステリーの系譜』において、カポーティの『冷血』から風景描写を引用し、その表現力を「劇的(ドラマチック)」と評価している。
さらにはカポーティが来日した際、三島由紀夫とも面会しているのだ。
そんなカポーティ晩年の代表作ともなった『冷血』の完成までのプロセスを描いた作品が、映画『カポーティ』なのである。

それまで人気作家としての地位を築き上げて来たカポーティではあるけれど、晩年はなかなかヒット作を書けずにいた。
そんな中、1959年カンザス州の田舎町で一家4人惨殺事件が起き、カポーティはこれを取材し、その詳細を本にしようと思ったのだ。

ストーリーはこうだ。
1959年11月15日、カンザス州の田舎町で一家4人が惨殺されるという凶悪事件が発生する。
ニューヨーク・タイムズ新聞でこの記事を読んだカポーティは、がぜん興味を持ち、すぐさま現地へと取材に向かう。
同行者である幼なじみのネルと一緒に事件現場や関係者を訪ねて回るさなか、二人の容疑者が逮捕される。
いよいよカポーティはこの事件をノンフィクション・ノベルとして世間に発表したいと思い立ち、二人の容疑者らへの取材を申し込む。
カポーティは、犯人の一人であるペリー・スミスと何度か面会を重ねるうちに、妙な友情めいたものを感じ始める。
それは、自分と同様に家族から愛情を得られず、見捨てられた過去を持つ犯人に対する共鳴のようなものだった。
だが一方でカポーティは、いずれ死刑を執行される犯罪者の最後の最後までを残酷なまでにリアルに書いて、世間からの評価を我が物にしたいという欲望もあった。
カポーティは、これまでにない不思議な創作意欲に駆られるのだった。
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主人公トルーマン・カポーティに扮するのはフィリップ・シーモア・ホフマンである。
いやびっくりした。
ほとんどご本人そのものである。
声の出し方や喋り方なんか、どうやって研究したのだろうか?
これからもさらに独特なキャラを演じて、たくさんの映画に出演してもらいたかったが、すでにお亡くなりになられた。
とても残念。
(この『カポーティ』においてフィリップ・シーモア・ホフマンは、アカデミー賞主演男優賞を受賞している。)

『カポーティ』を見ていると、作家というものがいかに業の深い職業であるかを思い知らされる。
いろんな捉え方があるのだろうが、私はシンプルに、ピークを過ぎた作家の邪悪な側面がクローズ・アップされた作品だな、と捉えた。
とはいえ、人間なんてみんな五十歩百歩なので、カポーティを偽善者だと批難はできまい
『カポーティ』は伝記ドラマとしてとても見ごたえのある良質な作品で、一見の価値はある。

2005年(米)、2006年(日)公開
【監督】ベネット・ミラー
【出演】フィリップ・シーモア・ホフマン、クリフトン・コリンズ・Jr


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最終更新日  2017.06.11 06:24:21
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