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吟遊映人 【創作室 Y】

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2017.07.17
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【スイミング・プール】
20170717

「君はもっといいものが書けるよ」
「そうは思わないわ。これが今まで書いた中で、最高傑作なのだから!」

梅雨が明けてもいないのに、なんなんだこの暑さは?!
我が家の前の路地を歩く人もいやしない。当然だ。まともに歩いたらこの陽射しにやられてしまうだろう。
今日は2~3回救急車のけたたましいサイレンを聴いた。
きっと熱中症で運ばれたに違いない。
嗚呼、この暑さをどうにかして忘れてしまえないものなのか。
私は親の仇を打つみたいに、日焼け止めクリームを塗りたくった。顔から首筋から腕までもだ。
TSUTAYAに行こう。それで背筋も凍るような恐ろしいやつを借りて来よう。そう思った。

TSUTAYAはいい塩梅で冷房が効いていた。
私はすっかりホラー作品を借りるという目的を忘れてしまった。
店内をぶらぶら歩いていると、旧作サスペンスコーナーに『スイミング・プール』というタイトルを発見。
何やら涼しげではないか。
今回はこれにしよう。深く考えもせず、それに決めた。

『スイミング・プール』はフランス映画で、フランソワ・オゾン監督の代表作にもあげられる。
フランソワ・オゾンの作品には狂信的なファンがついているせいで、ヘタな感想を言った日には集中攻撃を受けてしまいそうな懸念がある。
なので、気の小さい私は今回、あたらずさわらずの記事しか書かないことをあらかじめ申し上げておく。

ストーリーは次のとおり。
イギリスの女性推理作家サラ・モートンは、「ドーウェル警部」シリーズの著者であり、人気を博していた。
ところが本人はマンネリの兆しに気付いていて、漠然とした不満を抱えていた。
出版社の社長であり愛人関係にあるジョンに愚痴をこぼしたところ、君は経済的にも恵まれているしプロットに困っているわけじゃないと、一蹴されてしまう。
それでもジョンはサラのご機嫌取りも忘れず、自分が所有するフランスの別荘へ行くよう勧める。
環境を変えればまたペンも進むに違いないという配慮もあったのだ。
サラはジョンの勧めを聞き入れ、南仏のリュベロンにある別荘へ向かう。
雨天の多いロンドンとは違い、陽光が心地よく田舎ののどかな風景が広がる南フランスは、サラにとって正に天国だった。
静かな環境の中で、仕事もはかどるはずだった。
ところがその別荘に、ジョンの娘であるジュリーも滞在することになったのである。
ジュリーは自由奔放で、遠慮を知らなかった。
若く瑞々しい体を惜しげもなく披露し、プールで悠々と泳ぐのだった。
サラは自分の環境を乱されたと思いイラつくが、ジュリーの美しい裸体に軽いめまいさえ覚える。
またある日、ジュリーは年の離れた男を別荘に連れて来た。
何の躊躇もなくジュリーは男を受け入れ、喘ぎ声をあげた。
男にまたがって腰を振っている最中のジュリーを、サラは思わず注視してしまう。
その視線に気づいたジュリーは不敵な笑みを受かべるのだった。
こうして二人の奇妙な同居生活が始まるのだが、ある日、事件は起きた。

まずこの作品が【サスペンス】というカテゴリに分類されていることに、ちょっとだけ違和感がある。
もちろんミステリアスな内容だけにサスペンスという枠組みに入れてあっても問題ないのだろうけど・・・
私個人的には官能映画というジャンルでも充分受け入れられるのではないかと思うわけだ。
(その証拠にこの作品はR-指定となっているし。)
『スイミング・プール』というゆらゆらと揺れる水面(画面)に映し出されるそのものがあまりに幻想的で、どこまでがリアルの世界でどこからが妄想なのか、線引きにとても迷う。
老齢に差し掛かって今や恋愛からも遠ざかりつつある女性と、若くて自由奔放ではち切れそうな肉体を持て余す女性・・・という真逆な二人が織りなすリアルとシュールな世界。
でも実際は更年期障害と職業上のスランプに押し潰されそうになった主人公が見た白昼夢を表現しているのかもしれない。

フランス映画はどこか雰囲気を楽しむ傾向もあるので、冷たい飲み物とスフレか何か食べながら堪能すると、また一段と優雅な気分を味わえる。
作品についてはそれほど深く詮索する必要はないかも(笑)

2003年(仏)、2004年(日)公開
【監督】フランソワ・オゾン
【出演】シャーロット・ランプリング、リュディヴィーヌ・サニエ


20130124aisatsu





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最終更新日  2017.07.17 11:05:56
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