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吟遊映人 【創作室 Y】

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2020.01.26
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【女神の見えざる手】

「ロビー活動は予見すること。敵の動きを予見し、対策を考えること。勝者は敵の一歩先を読んで計画し、敵が切り札を使ったあと、自分の札を出す」

2016年のアメリカ大統領選では、「まさか」のどんでん返しが起き、トランプ氏が当選した。
絶対的な政界内部者であるヒラリー・クリントン氏を打ち破ったのである。と言うのもトランプ氏はそれまで実業家であり、まったくの政界外部の人だったので、全米に「激震」が走ったわけだ。
建前的には、既存の政治体制へのしがらみがなく、トランプ氏なら深刻化している様々な社会問題(移民問題、所得・教育の格差、ジェンダー問題等)をどうにかしてくれるのではないかと言うアメリカ国民の期待感の現れとも捉えることができる。
だが、当選の理由は果たしてそれだけなのだろうか?
今年の秋、いよいよアメリカ大統領選挙が実施される。
すでに今、水面下では始まっているであろうロビー活動の勝負やいかに、乞うご期待、てなものだ。
※ロビー活動とは、企業や業界が何らかの要望を実現するため、国会議員や官僚などに働きかける行動のこと。(Wikipedia参照)

私は『女神の見えざる手』を観た。
政治ロビイストとして活躍するエリザベス・スローンを主人公にした作品である。

ストーリーはこうだ。
エリザベスは敏腕ロビイストとして大企業であるコール=クラヴィッツ&Wにおいて、陣頭指揮を執っていた。
しかし、勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりは、クライアントから高く評価される反面、敵も多かった。
あるときエリザベスは、圧倒的な資金力を誇る銃擁護派団体から依頼を受ける。それは、新たな銃規制法案に対し女性の銃保持を勧めるロビー活動で、要は廃案に持ち込んで欲しいと言うものだった。するとエリザベスはそのオファーに対し、大きな口を開けて笑いながらきっぱり断る。その傲慢にも見える態度に激怒した上司は、「それなら君にいてもらう必要はない」と解雇を言い渡す。
その晩、新聞記者のフリをしてコメントを求める男がエリザベスに近寄って来る。最初は歯牙にも掛けない態度を取っていたエリザベスだが、男が銃規制法案の成立に尽力するシュミットであることを知り、興味を持つ。
結果、コール=クラヴィッツ&Wでエリザベスと同じチームとして働いて来た部下を引き抜き、シュミットの会社へ移籍する。
そんな中、特に目をかけて来た腹心の部下であるジェーンは、エリザベスと袂を分かち、コール=クラヴィッツ&Wに残ることになった。しかしそのことがエリザベスにとっては大きな痛手となる。ジェーンはエリザベスの右腕として働いて来たため、エリザベスのやり口を熟知していたからだ。
その後、エリザベスの戦略により、銃規制法案の賛成派議員を徐々に増やしていくことに成功する。
ところが、豊富な資金力に物を言わせる銃擁護派団体も負けてはいない。次々に策を仕掛けてくるのだった。

『女神の見えざる手』は、ジョン・マッデン監督の作品だが、代表作に『恋におちたシェイクスピア』がある。
どちらにも共通するのは、どことなく感傷的なところがある点だろうか。
ジェシカ・チャステイン扮するエリザベスは、クールでスタイリッシュでキレキレのキャリア・ウーマンだが、時折トイレにこもって安定剤を飲むシーンを見ると、強く見えても実はメンタルがすり減っているのだと表現されている。
また、プライベートでは彼氏もいないため、ホテルにエスコートサービス(コールガールの男性版)を呼び同衾するのだが、感情の波に溺れる一人の女性の横顔が垣間見える。これも、エリザベスを冷血・非情なだけの女性に見せないための演出かもしれない。

作品の根本はアメリカ銃社会に一石を投じるものとするレビューが多く、おそらくそれも当たらずも遠からずだとは思うが、実はロビイストについてフォーカスを当てているような気がする。
エリザベスと言うロビイストを見ていてもわかるように、自分の信念や正義を貫くにはキレイゴトだけでは解決しない。結果を出すには義理・人情に囚われず、手段を選ばず、一切の妥協を許さないと言う鉄の意思が必要なのだ。

主演のジェシカ・チャステインは私生活でも女性の権利を守るため、様々な活動を行なっている。(Wikipedia参照)
思想的にもリベラルな彼女にとって、エリザベス・スローンと言う有能なロビイストは、正に適役だった。
日本には「ロビイスト」と言う表立った職業はないが、何か物事を成し遂げるためには戦略家の存在は絶対である。
一見の価値あり。


2016年(米)、2017年(日・仏)公開
【監督】ジョン・マッデン
【出演】ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング


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最終更新日  2020.01.26 07:00:09
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