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吟遊映人 【創作室 Y】

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2020.02.09
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【ナイブズ・アウト名探偵と刃の館の秘密】

更年期による不定愁訴で悩んでおられる方々は、世の中にたくさんおられると思う。私もその一人である。
どこがどうと言う症状を具体的に説明することができず、身近な人にその不調を理解してもらうのが難しく、またそれを根気強く分かってもらおうとするエネルギーもない。
でもこんなメンタルじゃいけないと、自分を鼓舞する気持ちもある。
明日のために、今日、何ができるか?
そうだ、好きなことをしよう!
私は、もう何年ぶりかで映画館に出かけた。
最近はTSUTAYAでDVDを借りて来て見るか、息子がアマゾンのプライム会員になっているため、家にいながら新作を楽しんでいた。
だが、私の心がアナログを楽しもうとしている。
寒い中、映画館まで出向くのは面倒だけれど、非日常を求めている自分がいる。
その前向きな気持ちを大切にして、私は市内のTOHOシネマズに出かけた。

映画と言ったらお約束のパンフレット。売店で購入する際、びっくりしたのはその金額だ。
「820円?!」
たしか、こないだまで400円ほどで買っていた記憶があるが・・・(いつの記憶か定かではない)
さらにはポップコーンも買った。今のポップコーンはスゴい。かっぱえびせんもミックスされているのだから!(息子に聞くと、フツーのポップコーンも売っているそうだ)

私が見たのは『ナイブズ・アウト』である。
まだ1月31日に封切られたばかりのホヤホヤだ。
パンフによれば、古典ミステリーへのオマージュ的作品とのこと。アガサ・クリスティー作品を踏襲しているらしい。

ストーリーはこうだ。
舞台はニューヨーク郊外の屋敷。
ミステリー作家として成功したハーラン・スロンビーの85歳の誕生日を祝うため、親族が集まった。
その翌朝、いつも通り家政婦が朝食を持ってハーランの書斎を訪れたところ、ソファーに横たわり亡くなっているハーランを発見する。
容疑者は、ハーランの誕生日を祝うために集まった家族全員である。
ハーランの長女リンダとその夫のリチャード。彼らの息子のランサム。
ハーランの長男はすでに亡くなっていて、その妻ジョニと娘のメグ。
ハーランの二男ウォルトと妻のドナ。彼らの息子のジェイコブ。
ハーランの年老いた母で、すでに認知症を患っているナナ。
そして親族ではないが、ハーランの専属看護師であるマルタ。
以上が屋敷に集まった顔ぶれである。
事件から一週間後、匿名の人物から捜査を依頼された名探偵ブノア・ブランは、エリオット警部補、ワグナー巡査とともに屋敷を訪れる。
ハーランの残した土地と屋敷を含めた遺産は、莫大なものであった。
ハーランの死を単なる自殺として処理してしまうには、あまりにも謎が多すぎる。
ブノアは事件当夜の真相を、徐々に明らかにしていくのだった。

映画には「雰囲気」と言うものがある。
この『ナイブズ・アウト』はひとことで言うと、とても上品だ。
ミステリー作品なのに、斬った刺したの乱暴な描写はなく、始終、優雅で安心して鑑賞することができた。
冒頭からしてまるでイギリス・ロンドンの郊外を連想させるような、格調高く、トラディショナルな雰囲気に包まれている。
(パンフで「ニューヨーク郊外の屋敷」における事件と言う記述を読まなければ、てっきりイギリスと間違えるところだった)

この作品のテーマはとてもわかりやすい。
ズバリ、〝移民問題〟である。
ハーランの専属看護師であるマルタはウルグアイ系の移民で、学費を稼ぐためにせっせと真面目に働いている。
一方、ハーランの子どもたちと、その孫らは、白人の金持ちとしては典型的で、いかにもマルタを家族同様に受け入れていると思わせておきながら、その実どこか偽善的で、移民であるマルタを見下している。
富裕層にはありがちなことだが、移民を拒否する一方で自分の屋敷ではメイドや庭師として移民を働かせていると言う矛盾。

ここからはネタバレになってしまうが、結果としてハーランは、最後まで自分の面倒をみてくれたマルタに全財産を譲渡すると言う遺言書を残していた。
マルタは突然の展開に戸惑い、驚きを隠せないでいるが、最終的にはその幸運を受け入れる。
そのシーンは、マルタがバルコニーに立ち、屋敷を追われることになったハーランの子どもたちや、その孫たちを見下ろすラストである。
マルタの手に握られているマグカップの柄を見ると、「My House,My Rules,My Coffee!」と書かれている。
一体このシーンにどんな意味が込められているのかは、もう、それそのものであろう。
アメリカの〝今〟がとてもよく反映されている、とパンフにも書かれていたので、私が今さらとやかく言うまでもないことだが、移民問題については、まだまだ議論の余地がありそうだ。

トリックそのものに目新しさはないけれど、英国人俳優ダニエル・クレイグの、スタイリッシュでスマートな身のこなしや、個性的なキャラクターを表現するに相応しいそれぞれの衣装も見ものである。
久しぶりに映画らしい映画を堪能した私は、大満足で鼻歌まじりに帰宅した。

皆さんも、たまには映画館で楽しいひとときをどうぞ。


2019年(米)2020年(日)公開
【監督】ライアン・ジョンソン
【出演】ダニエル・クレイグ、クリストファー・プラマー、アナ・デ・アルマス


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最終更新日  2020.02.09 07:00:11
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