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カテゴリ:読書案内
【 村上春樹 / ノルウェイの森 】 ハルキストたちを差し置いて、私のような五十代のオバちゃんが今さら『ノルウェイの森』について語るのも、おこがましい話である。 なので今回は本当にざっくりとだけ、感想めいたものを語ることにする。 ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ 私がこの小説と出合ったのは、すでに30年以上も前のことだ。 あれから何度となく読み返しているけれど、ポイントとなるのは、主人公のワタナベとか、その周辺の人物たちは、ある一定の経済力のある家庭を背景にした、中流ないし上流に所属する部類であるということ。 そんなこと特に関係ないと思われるかもしれないが、この経済的バックボーンを知らないと、そのオシャレな会話の意味するところも流れる音楽の雰囲気も、まるでつまらないものになってしまうからだ。 度々、成り行きのように交接するシーンが出て来るが、それだって、貧乏人が他にやることがなくて、街で引っ掛けた年増の女を貪るような低俗な行為とは違う。 やることは同じでも、そこにある種のドラマ(?)があるのだから驚く。 でも決して愛情ゆえの繋がりではない。 村上作品の中に出て来る交接のどれもに当てはまるが、ものすごく孤独めいていて、共鳴を深めたいとする男女の儀式的なものなのだ。 快楽を求めるだけではない代わりに、愛とか恋とか、そういう幻想なども含まれない。 経済的に不自由はなくても、満たされない精神の均衡を交接によって、かろうじて保っているという危うさ。 種の継続のための生殖行為ではない交接の在り方を示すような、そういうシーンに完成されているのだ。 『ノルウェイの森』を官能小説といっしょにするな! と、怒られてしまいそうだが、あえて言わせて欲しい。 村上作品の交接の在り方は、思うに、〝儀式〟なのである。 ここまで言っておきながらも私は村上ファンなので、たいていの作品は読了済みである。 短編集『女のいない男たち』は秀逸。オススメだ。 ~ご案内~ ●本 ●著者「村上春樹」 ●著者ロゴ ●著書「ノルウェイの森」タイトルロゴ 『ノルウェイの森』村上春樹・著 ★吟遊映人『読書案内』 第1弾(1~99)はコチラから ★吟遊映人『読書案内』 第2弾(100~199)はコチラから ★吟遊映人『読書案内』 第3弾(200~ )はコチラから お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.02 06:00:14
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