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2024.07.27
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【 太宰治 / 女生徒 】

●はじめに
新聞のエッセーで太宰治の詩に目がとまった筆頭管理人は、さっそく吟遊さんに一報を入れる。



感動した吟遊さんは



といい、つらつらと太宰のイラストを描いたそうな。
なお吟遊さんに言うには、
『このイラストは太宰が女生徒を書いたころをイメージして描いた』
とな。そして
『以前に女生徒の記事は投稿しているので、イラストを添えて再度アップしてほしい!』
と依頼を受け、本日の運びとなった次第です。


※太宰イラスト 令和六年盛夏

◆新感覚でヴィヴィッドな小説

太宰治の著書は片っ端から読んで、何やら青春の虚無感とか孤独感にどっぷりと浸かっていたような記憶がある。『人間失格』は青春のバイブルにもなっていたし、持っているだけでカッコイイ気がした。そういう意味で、坂口安吾も似たような感覚のニヒリズムとデカダンスを備えていた。
私の知人などは、内容もろくに知らず、読みもしないのに坂口安吾の『堕落論』を、コートのポケットやバッグに忍ばせていたとか。もうこうなると、文庫本一冊といえども、ファッションの一部なのだ。それを持っているだけで、クールに生まれ変わった錯覚を抱いてしまうのかもしれない。

太宰治の小説は、戦前→戦中→戦後と、その時代によってかなり作風が変化している。

とりわけ評論家から賛辞を受けたのは、戦時下での小説で、『新釈諸国噺』と『お伽草子』だ。それらは、“珠玉の短編”と評価されている。

さて『女生徒』。この小説は女性一人称スタイルを取っていて、語り手が女学生である。新感覚でヴィヴィッドな言い回しの中に、核心をついているのだが、例えばこんな具合だ。
「朝は灰色。いつもいつも同じ。一ばん虚無だ。朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。いろいろ醜い後悔ばっかり、いちどに、どっとかたまって胸を塞ぎ、身悶えしちゃう。朝は、意地悪」
どうだ、この感性! この小説が出版されたのは、太宰30歳の時。現代の30歳の男性が、多感な女子高生の心理状態を、これほどまでにリアルに想像できるだろうか?! 他にもこんなところがある。
「私がもらった。綺麗な女らしい風呂敷。綺麗だから、結ぶのが惜しい。こうして坐って、膝の上にのせて、何度もそっと見てみる。撫でる。電車の中の皆の人にも見てもらいたいけれど、誰も見ない。この可愛い風呂敷を、ただ、ちょっと見つめてさえ下さったら・・・」
可愛らしいもの、素敵なものを、誰かに自慢したい気持ち、少しだけ認められたい気持ち。このウブな女子の感性を、当時30歳の太宰治が見事に表現していて、それがまた驚くほどの完成度の高さなのだ。

『女生徒』は、物質的には不自由を強いられようとも、つましい生活の中にささやかな幸福を感じたり、あるいは嫌悪を抱いたり、女子のデリケートな心理を鮮やかに表現した小説である。
もしも私が、何か一冊バッグに携帯するとしたら、この『女生徒』にするかもしれない。ファッション・アイテムとしての『堕落論』より、数倍は私をクールにさせてくれる作品だからだ。

『女生徒』太宰治・著

●おわりに
ご参考まで、太宰治の「女生徒」を投稿したのは平成24年(2012年)10月20日で、すでに12年も前の話です。思えば吟遊さんもチャッキチャキの中年女性でした・・・
ということで、人生五十年で言えばすでに老人の域ですな(^^;) それでこのごろは暴飲暴食のツケにおおいに慄いていらっしゃいますが、そろそろ真剣に健康と向かい合わないといけませんね(^_-)
老婆心ならぬ老爺心まで(*'ω'*)
ときに、仏壇で般若心経を諷経する身で、『オーマイゴッド!』はいただけませんな(>_<)



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最終更新日  2024.07.27 08:00:11
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