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2019.08.04
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テーマ:鈴鹿8耐(331)
カテゴリ:鈴鹿8耐
​​​​​​​​​​​​

混乱の元となった“5分ルール”

2019鈴鹿8時間耐久ロードレース・・・チェッカーではなく、振られた赤旗。これにより大混乱となった。

その混乱の原因になった謎の“5分ルール”に触れる。ちょっと長いですよ。

 

レースディレクションにより1928分、赤旗提示。これによりレース距離75%以上走行していることから、レース成立とみなし、終了となる。(レースディレクションには赤旗提示の理由について説明義務がない)

 

1658分グランドスタンド前のストレートで、エンジンブローしたマシンは、1コーナーに入らず、マシンを内側に停めて、リタイアを選択した。残り30分でのことだったが、ここから大混乱が始まる。

 

最終スティント~混乱序章~

夕闇がコース全体を包み込み始めた。2コーナー立ち上がりに、サイレンサーが落とされ、それを踏んだ№29ドッグハウスが転倒。あわやトップ№10 Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hを巻き込むところだった。

このときコースマーシャルからの注意喚起指示が弱かった。コースポストは黄旗振動ナシ。​​

 

最終スティント~魔の時間~

1923 S.E.R.T.自身の211周目のグランドスタンド前のストレートで、エンジンブロー。間違いなくブローしており、普通であればブロー後すぐマシンを停めるべきなのだが、ピットに戻りたいがために東コースを走ってしまう。

ライダーが白煙を確認し、オイル噴出の可能性を感知したなら、速やかにコースアウトしてマシンを止めるべきだった。

ライダーの気持ちは分かるが、FIMもしくはレースディレクションはS.E.R.T.チームにペナルティを科すべきであろう。



TV解説の辻本氏、北川氏 両氏ともセーフティーカーを望んでいた。

1925分過ぎ №25Honda Suzuka Racing TeamS字コーナーで転倒。この転倒は、オイルに乗って転倒したのは明白で、ライダーはケガをしてしまう。コースマーシャルのオイルに対する指示やメインタワーへの連絡は密に行われていたか?は疑問である。

 

ちなみに筆者自身が”八耐”のコースマーシャルを行なった経験があるが、その時は”ポストチーフの判断でセンターに緊急連絡入れてください。赤旗やセーフティーカーもポスト判断を優先します”と言われてポストに就いたことがあった。

 

1928分過ぎ 逆バンク手前のコーナーでファイナルラップに突入した トップの№10ジョナサン・レイ(Kawasaki Racing Team Suzuka 8H)が№25と同じ位置で転倒した。その瞬間グランドスタンドがマジで揺れた。

レースディレクションは、レース続行を危険と判断し、赤旗とした


“赤旗掲示が遅い”“判断が遅い”と声が上がり続けていた・・・・・・・。

 

 

謎の5分ルール・・・“赤旗”の意味の違い

赤旗に関し、MotoGP規則書 1.25.1項には「赤旗掲示から5分以内にマシンに乗ってピットレーンに入らず、指定された計測ポイントを通過しなかったライダーは、非完走扱い<リタイア>となる」と明記。

 

スーパーバイク世界選手権(SBK)規則書1.27.4項には「赤旗掲示後に再スタートの資格を得るには、掲示から5分以内にライダーはバイクに乗るか押すかしてピットレーンに戻らなければならない」と明記。

 

鈴鹿8耐は世界耐久選手権EWCの規則によって行われている。世界耐久選手権EWC規則書にはこういった“5分ルール”の項目はない。EWCレギュレーションのもとで行われる鈴鹿8耐では、赤旗に関する“5分ルール”は無関係だ。

 

今回、レースディレクションは赤旗終了時において、”最初の暫定結果は赤旗に関する“5分ルール”ではなく、1.22.5に示される完走に関する“5分ルール”が根拠だ”とした。

 

暫定結果変更発表の際、レースディレクションは冒頭で「レースディレクションは、赤旗から5分以内に全ライダーがピットレーンに入ってきた段階のリザルトをもってレース終了、と考えた。これはFIMのすべての世界選手権の見解だ」と説明した。

おそらくジョナサン・レイにも、“ピットに戻らなきゃいけない”ということが、頭を過ぎったんだろうと。そのために一所懸命に戻ろうとしている所が映し出されていた。(実際には再始動しなかった。)

 

もしこの説明により暫定結果が決められたとすれば、MotoGPSBKの規則書に記載されており、EWC規則書には記載されていない、赤旗に関する“5分ルール”が勝手に独り歩きし、運用されてしまった。

 

赤旗に関する“5分ルール”はEWC規則書には記載されていないにも関わらず、FIMのすべての世界選手権の見解です」と話したレースディレクションは、無知としか言えず、運営をおこなう資格がない。

 

 

 

レース終了条件とは?

耐久レースの結果とは、正式な結果はマシンのレース後車検で正式決定となるが、暫定でのリザルトを決定するうえで、もちろんながら耐久レースだから、最長距離を走破し、チェッカーを受けたチームが優勝となるのは一目瞭然。ただし、何かの条件で、レース中断そして終了する場合もある。

 

実際、2019前日の4時間耐久が、荒天のため、1時間強を残しながらの、レース終了となった。

 

ゆえに、レースディレクションは自身の発言通り、FIMはすべての世界選手権に共通するルールを策定するべきだ。

 

例えば今回、S.E.R.T.が白煙を上げた時点で赤旗中断となり、その後レース終了となった場合、EWC規則に則れば、赤旗1周前の順位をリザルトとするため、S.E.R.T.は完走扱いとなり、EWCチャンピオンになっただろう。

 

こういった事態を不公平と見て、MotoGPSBKには赤旗に関する“5分ルール”が定められたのだ。EWCにおいても同様にルール化して適用されるべきなのだろう。

 

鈴鹿8時間耐久は“8時間スプリント”と呼ばれて久しい。耐久ではなく1時間スプリントレースを8回。タイム差が僅差の状態でゴールの1930分まで全開で走り、緊迫したレースを展開する。

 

レースディレクションの考えとしては、「状況が二転三転する劇的な展開が続いたレースを停めてしまうよりも、なんとか選手たちに無事に走りきってもらって、皆の記憶に強烈に灼きつく感動的な幕切れを迎えたい」という気持ちが判断を鈍らせたかもしれない。

 

だからこそレースディレクションには、歩く“ルールブック”と言える担当を作ったり、F1レースに尽力を尽くした()チャリー・ホワイティングのような代表を据えて、より迅速かつ精密な判断に期待したい。

 

暫定表彰式

観客と喜びを分かち合った表彰式。その場にいた、お客様も この結果を噛みしめ、帰途についたであろう。


暫定ながらも 総合優勝は“ヤマハファクトリー”5連覇。ただ素直には喜べない。

レギュレーションがもたらしたリザルトである。

トップを走っていないけど、これも勝ちは勝ちなんで・・・”と中須賀克行選手は話す。



1940分 暫定結果として、計時モニターにて総合順位を発表。
1st #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2nd #33 Red Bull Honda
3rd #1 F.C.C. TSR Honda France

 

 

 ​EWCシリーズ選手権表彰も行われた。総合の表彰が変わっても、この表彰は、変わらなかった。​

 

 

 

覆る優勝判定?

暫定表彰を行なっている頃、2020分 ピットビル/コントロールタワーでは、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hが正式に抗議書を提出しにきていた。2035分 レースディレクションは、これを正式に受理し、ここから裁定が始まった。

 

Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hのライダーは、ちょうどその頃、S-PLAZAにて、食事中だった。

そこへコースに残ってた(抗議書提出組)チームメンバーから、優勝の連絡来て、急遽、会見場に向かった。



FIMの優勝判定の誤認

FIMはここにきて、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hの抗議に正当性があるとし、FIM Race Directionにおいて赤旗の運用規則を再度厳密に精査し、FIM Endurance World Championship and Cup Regulations 1.23.1に定められた赤旗中断時の規則を適用し、赤旗提示の1周前(216周)の順位を結果として採用するという規則に則り、暫定結果を変更した。

​1st #10 Kawasaki Racing Team Suzuka 8H
2nd #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3rd #33 Red Bull Honda
4th #1 F.C.C. TSR Honda France​

 

 

201942回鈴鹿8時間耐久ロードレース正式結果

ファンの方々で、深夜にこのニュースを見て、驚かれた方も多いはず。実際にサーキット内で、優勝がKawasaki Racing Team Suzuka 8Hになったことを、鈴鹿サーキットで知った人は限定されている。

 

報道関係のみで、ファンもいない、簡素な会見となった。

 

 

筆者も、F1ドイツGPを見ながら、レース内容をまとめ始めた矢先に、逆転優勝を知った。その時点では、詳細は不明だったが、後に詳細が分かり、筆者自身も 勘違いしていた“5分間ルール”について、改めて、EWCのルールを見たが、“5分ルール”というものは、記載なかった。

 

ヤマハは抗議はせず、レースディレクションに対して、詳細の説明を書面にて求めた。レースディレクションも、ヤマハだけでなく、ホンダやスズキに対しても正式の説明文を手渡している。

 

 

明けた月曜日、上位20位の最車検が実施された。壊れたKawasaki Racing Team Suzuka 8HZX10-RRに火が入るかどうか?が問題だったが、問題なくエンジンは回った。左側を下側に転んだため、エキゾーストに割れもなく、騒音検査も無事パスした。全車、車検終了し、車検落ちもなく、前日の訂正結果が7/29 1617正式結果と変更された。

 

望むべくなら、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hの面々を招へいし、表彰式を行なっていただきたいものである。

なにせ26年ぶりの総合優勝なのだ・・・・・。

 

 





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Last updated  2019.08.04 17:45:17
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