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テーマ:心の病(7311)
カテゴリ:写経の勧め
◆「空」の思想
『般若心経』が「般若波羅蜜多」の修行で得られる智慧として説いているのは、大乗仏教の「空」の思想です。 つまり、「般若波羅蜜多」の智慧は「空」を理解する智慧であり、瞑想修行の中ですべてを「空」であると洞察するのです。 『般若心経』が次々と数え上げながら、「空」である、「無い」と否定しているのは、「五蘊」、「十二処」、「十二縁起」、「四諦」など、お釈迦様が説かれたとされる仏教の中心的な教説で使われる基本的な概念で、「法(ダルマ)」と呼ばれるものです。 小乗仏教は世の中のあらゆるものを細かく分析して、真に存在するものを「法」と呼びました。 そして、観の瞑想によって「法」を見極め、我々が一般に存在していると思っているものは観念でしかなく、しかも、真に存在しているこの世の「法」は無常なもので、したがって執着することは苦であり、どこにも私はないのだという智慧を得て、煩悩をなくすことで悟りが得られるとしました。 そして、「法」は、悟りと関係した清いものであったり、煩悩と関係した汚れたものであったり、また、生じてはすぐに滅するものだなどと考えました。 しかし、大乗仏教は、小乗仏教が「法」を大切にし過ぎるあまり、これらを実体のように考えていると批判しました。 (当時、大乗仏教が批判の対象にしていたのは、小乗仏教の中でも主に「説一切有部」と呼ばれる宗派であり、その後、東南アジアで主流となっている「上座部」とは違います。)『般若心経』は、小乗仏教のこの理論(アビダルマ論)を知っている人を対象にして、「法」も含めてすべてのものは「空」であって、もともと真実に存在しているものではないのだから、生まれることも、滅することも、汚れているということも、清らかであるということもないのだと、一つ一つ批判しているのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年12月30日 08時35分17秒
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