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カテゴリ:写経の勧め
◆真言の意味
一般に「真言」は日常の言葉とは異なっていることが望ましく、言葉の響きが重要とされます。 そのため、『般若心経』の「真言」も音訳されることが多く、上の訳では、インドの原典の発音をカタカナにしました。 といっても、「真言」は、それをただ唱えれば何かがかなえられるという魔法の言葉ではありません。 本来、「真言」は経典や仏の智慧を心の中に呼び起こすための言葉です。 その意味や智慧を理解する努力なしには意味のないものです。 『般若心経』の「真言」は正規のサンスクリット語ではなく、その意味がはっきり分らないのですが、「ガテー」は「行く」という言葉の過去受動分詞、女性単数の呼格と思われるので、『般若心経』のテーマである悟りをもたらす(彼岸に行く)女性名詞の「智慧」へ呼びかけているのでしょう。 つまり、 『般若心経』の「真言」は「智慧よ悟りをもたらし給え」という内容であり、修行の目標そのものを意味しています。 そして、過去にも菩薩達がこの「真言」を唱えた結果、実際に智慧を完成させて悟りを得て目標を達したのだから、この「真言」はその言葉の内容を実現する力がある真実のものであるということになります。 ですから、「般若波羅蜜多」の修行の真髄は「真言」であり、「般若波羅蜜多」は「真言」のように目標を実現する力があるというのが 『般若心経』の主張なのです。 「智慧」はインドの言葉では女性名詞であり、「智慧」によって仏が生まれるということから、『大般若経』では「般若波羅蜜多は諸仏の母」と書かれ、後に密教に時代になると、「般若仏母」と呼ばれる女性の仏であると考えられるようになりました。 『般若心経』にも「智慧」を女神のように考えていたという側面がすでにある程度あったのかもしれません。 当時のインドはヘレニズム文化圏の東端にあり、ギリシャ、イラン(ペルシャ)系の王朝が次々と支配し、その文化の影響を受けていました。 仏像が生まれたのはギリシャ彫刻の影響ですし、救いや光の性質を持ったたくさんの仏・菩薩が生まれたのはイランの神々の影響です。 当時のヘレニズム文化圏では宗教を超えて霊的な「智慧の女神」に対する信仰が広がっていましたので、『般若心経』にもその影響があったのではないでしょうか? ギリシャの智慧の女神ソフィアの影響を受けて、イランでは河の女神アナーヒターが智慧の女神となりました。 アナーヒターは観音菩薩の誕生にも影響を与えたと言われています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年12月30日 08時50分08秒
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