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テーマ:真空管アンプを作ろう!(897)
カテゴリ:真空管プリアンプ
前日のブログに『下手なDC点火』と書いた。
技術者という観点から述べる下手なDC点火とは、 一般ブリッジダイオードと10000uFや22000uFの大容量コンデンサで、 はいお終いという簡素な回路。 テスターで観測しただけではDC6.3Vとか表示されるので、 全く問題ないように感じるのだが。 しかし、DC0.3A必要な部分に22000uFのコンデンサでブリッジ後受けると、 コンデンサの充電に必要な電流のピーク値は相当なほど。 このピーク電流は広帯域のノイズ成分を含んでおり、 プリアンプに使った場合『ジー・・・』といった音が聞こえてしまう事も。 ローノイズを目指してDC点火したのに、本末転倒である。 性質が悪いのが、ヒーター巻き線とB電源の巻き線が一つとなったトランス。 真空管アンプ用として売られているトランスは、殆どがこのタイプだろう。 このトランスでヒーター回路を上記のごとく整流すると、 コアの励磁電流に大きなピークを持つこととなり、 その影響がB電源に必要な励磁電流と重畳してしまう。 ヒーター回路とB電源のトランスを別にすると音が良いというのは、 こういった背景が関係しているからである。 どーゆ訳か、この背景を論じている真空管アンプ系の雑誌が世間に無い。 では、ヒーター巻き線とB巻き線が一緒のトランスでは、 ヒーター回路のDC点火はお手上げかというと、そうでもない。 先ずはリカバリ特製の優れた、超高速ダイオードや ショットキバリアダイオードを用意すること。 そして、チョークコイルによるパイ型フィルタを設ける。 ダイオードの後(チョーク手前)は小容量の電解コンで受け、 チョーク後は22000uFくらいの大容量コンでリップルを除去する。 これくらいの配慮が、高音質のプリアンプには必要であろう。 チョーク手前のコンデンサ容量は、少ないほど良い。 真空管式プリアンプのヒーターをDC点火していて、 整流ダイオード直後のコンデンサ容量が大きくて整流直後のDCが高いから、 固定抵抗器でドロッパさせて必要な電圧を得ている。 この場合は大きな音質改善が出来ると予想される。 整流ダイオード直後のコンデンサ容量は少ないほど良いと述べたが、 ここに耐圧は十分で1uFとかの超小容量電解コンデンサは使えない。 リップル電流に耐えられず、短時間でパンクするからである。 また、どのくらいのコンデンサを持ってくるかは、耐リップル電流で決まる。 それはNichiconなどのメーカ発表のデータシートに記載されている。 コンデンサ容量を小さくすると整流後電圧も下がるので、 同じ定数のフィルタ用抵抗器は使えないし、所要電圧を得るためにこの値を 低く取っただけでは、最悪の場合リップルが増えて逆にハムが出る。 それを防ぐのに抵抗器後のコンデンサ容量を増やす必要もある訳で。 整流器をシリコンダイオードからショットキに変えると、 順方向電圧が小さいショットキは出力電圧が高くなることも注意が必要だ。 コンデンサメーカ発表のデータシートの内容を理解でき、 全て自己責任で音質改善に臨むという方なら、追試する価値はあるだろう。 尚、レギュレータIC(三端子レギュレータ)を使ってリップルを除去となると、 リップル波形のボトムがICの入出力間電圧差に抵触しないこと。 整流ダイオード後のコンデンサ容量が小さいと、結構高いAC電圧を要する。 私なら出来るだけ、昔ながらのチョークコイルによるフィルタを使いたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 30, 2020 04:41:18 PM
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