|
カテゴリ:カテゴリ未分類
3月の末に、私宛にオレンジ色の大きな封筒が着いた。
差出人は骨髄移植推進財団から「骨髄ドナーコーディネートのお知らせ」だった 私がドナー登録をしたのはもう10年以上前、いつ登録をしたかもはっきりしないほど前 まだ看護師になりたての頃だったとおもう。 よく友達と献血ルームへ献血しにいっていた。そこで骨髄バンクについて知った。 白血病でなくなった自分と年の変わらない女性の話を思い出した。 大きな病気をすることもなく、健康に過ごしていた自分には想像もできないそんな生活をしている人に自分ができる唯一のことのように思えた。 何も迷うことなくドナー登録の手続きをした。 それから何年も音沙汰がなく、そんなすぐに見つかるもんでもないんだと思っていた。 その後自分は結婚し地元に戻り、いつもと変わらない毎日を過ごしていた。 そして先日、バンクに登録している患者さんのHLA型(白血球の型)が一致しドナー候補の一人に選ばれたという知らせが来た。 とてもうれしくて、やっと自分が誰かの役に立てるような自分を必要としてもらったような・・・なんていったらいいか分からないけどとにかくうれしかった。 命を産み出せなかった自分が誰かの命を救えるかもしれない・・・そんな大それたことも考えたりした。 すぐに主人に電話した。 自分はぜひしたいということ、これをするには自分だけでなく家族の同意がいるということ、 移植は全身麻酔で行うためそのリスク、ドナーに決まればいま自分たちが行っている不妊治療は移植が終了するまで休まなければいけないということ、その期間は早ければ2ヶ月長い場合には(患者さんの状態などの理由で)10ヶ月になることもあるということ。 自分はそのことをすべて納得した上でそれでもやりたいことを話した。話しているうちになぜか涙が止まらなかった。 いつも自分がやりたいということに反対することもなく、いいよといってくれる彼がさすがに即答は避けた。 「帰ったらもう一度話そう、それまでもう少し考えたい」と、それからうちの両親にはナイショでしようと思っていたがそれもちゃんと話さないといけないと・・ 両親に話すると、二人とも反対。もちろん私の体を思ってのこと。ただ患者さんのことを思うと複雑だけど、目の前の私がいなくなるような気がするといって母は断固反対。 いつもの自分ならここで折れてしまうところなんだけど二人がなんと言おうと自分の決心は変わらなかった。 結局自分の周りの人間で賛成のない中、主人だけは「あんたも俺も後悔しないように、もう少し骨髄移植についてどんなリスクがあるのか知ったうえで同意したい。一番心配なのはココアの体のことやから。」と頭から反対はしなかった。 ただいろいろ話を聞くうちに主人は私の希望をかなえようと気持ちを整理してくれていたけど私はそんな彼の気持ちを汲んだことがあったかって考えた。 自分の希望を主人に一方的に押し付け、断れないような状況を作っていた。 私は子供のことについてはあきらめたわけでもないし、欲しいという思いは変わらない。この半年から一年という時間は自分の年齢を考えるとゆっくりできる年ではないことはわかっていた。それでもいま自分の骨髄を必要としている人がいるならそれは全然もったいないとは思わなかった。 ただ、主人は自分の年齢や仕事のことを考えるとそうは言い切れないところがあった。それは当たり前のこと。とても悩ませてしまう結果となった。その上彼だって欲しいと思っている子供のこともまるで自分ひとりのことのように決めようとしていることに話をして気がついた。 結果として今回のコーディネートは見送らせてもらうことになった。 患者さんを見殺しにしてしまったような気分。ここに書いたのはすべていいわけ。どんなに悩んだところで結果は見送ったという事実。 思うことは患者さんにドナーが見つかり健康を取り戻してもらいたいということ。 ただただそれだけを望みます。 ドナーになることって、自分だけの問題ではなく周りの人間の協力もあってのこと。 そのことを痛感した出来事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|