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カテゴリ:雑感
あっという間の1週間だった。 でも、毎日15:00と19:00のお見舞いをするほかは何もない日々で、母と二人もうこれ以上話すことないね、っていうくらいいろんな話をした。父との結婚生活、母としての子供への想い、親戚のこと、これからのこと・・・。 大半は母親の話を聞いているだけだったけど、結婚してすぐには帰ってこられない遠くで暮らしている私にとって、こういう時間を持てたことは思いもかけない幸せだったと思う。 「おねえちゃんとこんなにたくさん話ができる機会なんてそうそうないよね。普通の帰省じゃだんなさんもいるしね。こういう時間、お父さんがプレゼントしてくれたのかもしれないね」と母も言っていた。 妹は結婚するまで実家暮らしで母親にとっては一番身近だったろうけど、性格の違いもあって私にするようになんでも話す、ということはできないらしい。妹自身も「私はあんまり話きかないからねー」って言ってたし。 でも、父親と母親のいざこざを目の当たりにしながら一緒に暮らし続けた妹が、これ以上メンドウな話を聞きたくないって思うのもしょうがないと思う。それ以外では本当にやさしくて思いやりをもって母親を支えてきたんだから、母親がスッキリするまで話を聞いてあげるのは私の役目。 この1週間で私と母は父の余命についてだんだんと受け入れていったように思う。目の前の命にかかわる状態があまりにもすごすぎて、とにかくもう一度退院して普通の生活をしてもらいたい・・・それを願うのが精一杯で、そこから先の余命に対してまで願うことができなくなっていた。どうにもならないことを考えて悲しんでいてもしょうがない。 「今は少しでも早く度退院できることを願って、その後は残り少ない元気な時間を少しでも楽しく過ごさせてあげることを考えようね」母とそう話した。 父親の死を間近に感じて、自分の老後や死に際について現実的にとらえて考えるようになった。 私が今の父と同じような状況になったとき、私には父のように見舞いに来てくれる子供も親戚もいない。夫は私より先に逝っている可能性は高い。そんなことを考えたら、なんだか無性に恐ろしくなった。どうすればいいんだろうって。入院して苦しんでいても誰も会いにきてくれない光景を想像しただけで、こわくてこわくてどうしていいかわからない。 余命が短くても、今は苦しくて横になっているだけでも、毎日見舞ってくれる妻、なにかあれば飛んできてくれる子供や親戚がいる父は、本当に幸せだと思ったしうらやましく思う。 お金のこと。 私は夫に、65歳までの定期保険と終身でも1日5千円の医療保険しかかけていない。父と母は年金をもらいながら、父がマンションの管理人をあと3年続けることで日頃の生計や老後の計画を立てていた。それが今回のことで父は仕事はやめざるを得なくなり母の計画にかなりの狂いが生じてきた。 それでも今個室に入れたり、これから始まるであろう抗がん剤治療(ピンキリといわれている)も受けさせると母が言えるのは、終身の生命保険と1日1万円が給付される医療保険のおかげだ。 母は言う。「あまったお金を老後のために貯金する、なんてよっぽどお金持ちじゃないとできないよ。うちは特に借金も抱えてたしね。だから貯金替わりにお父さんに自分で設計したいい生命保険を45歳のときにいれたんだよ。退職金も期待できなかったからこれだけが財産だと思って払い続けてきたの。子供たちには自分たちの老後のことでお金の迷惑だけは絶対かけたくないって思ってるから。」 夫はまだ38歳だけど準備は早いにこしたことはない。 掛け捨ての医療保険をやたらに増やす必要はないけど、貯蓄替わりにもなる終身保険はすぐにでも入ろうと思った。 死後のこと。 順番的に妥当に考えればこれから先は母親が逝き、たぶん夫が先に逝くと思う。私に子供はいないし、妹にもいない。次の世代の血縁がまったくない私は、自分が死んだあとの後始末を誰にどう託せばいいのか? 私のような人はこれからきっと増えてくるに違いない。そういう人たちのための道筋、これからゆっくり勉強したいと思うけど、とりあえず5歳下の妹にお願いしておくことにしようか。 <術後の記録> 2009/3/8~15(母からの話) 横ばいながらも少しづつ回復の兆しあり。 ・目を開けて意識がある。 ・問いかけにうなずく。 ・手を動かしたりのちょっとしたリハビリが始まる。 「お父さんがんばってるよー。ちょっとづつよくなってるから大丈夫だよー」と明るい声で母から留守電にメッセージも入る。よかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.19 11:46:58
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