テーマ:国際恋愛(198)
カテゴリ:カルヴィン(夫)の話
今日会社から帰ると封筒がテーブルの上に置いてあった。 開けてみる。 そこにはある温泉旅館のHPをコピーしたものとお金が入っていた。 そしてカルヴィンからの手紙。 『お母さんと楽しんでおいで。 この旅館だったらそんなに遠くないから大丈夫だよ。 それに僕からだって言ったら、きっとお義母さんも行くって言うよ。 お母さんに好きなものをたくさん食べさせてあげなさい。 欲しいものがあったら何でも買ってあげなさい。 もしお金が足りなかったら帰って来たらときまたあげるから、 お義母さんがしたいことは全てしてあげてほしい。 COCOも思う存分日本を楽しんでおいで」 涙が頬を伝う。 こんなに深い愛があるだろうか。 日本行きが決まって数週間たった時、私は夫に母との思い出を話していた。 私が中学生の頃、母と二人で出雲へ出かけたことがある。 その時に情緒ある旅館へ泊まり、お部屋で食事を頂き、 温泉でゆっくりしたあと、布団を並べて夜更けまで話をした。 母とはそれまでにも色んな所へ旅行しているが、 なぜかそのときのことが一番良い思い出として残っている。 「今度帰省したら、またどこかの温泉旅館に行きたいと思ってるのよね。」 ある日夫に何気なくそう言い、数日後、母にそのことを提案した。 「ん~。最近すぐに疲れるからあまり遠くへは行きたくないのよね。 近場なら考えなくもないけど・・・・」 まったく可愛くない母親だ。 夫にその事を話す。 彼は黙って聞いていた。 「まあ日本に行ってから気が向いたら行けばいいわね」 ぼそっとつぶやく私。 ただあの中学の頃の旅は、 今でも大切な母との思い出には変わらなかった。 ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ~ ・ ~ 先程、カルヴィンが帰って来た。 「どうして? どうやって? いつのまに??」 質問攻めをする私。 「お母さんと電話を切った後の COCOの残念そうな顔が頭から離れなかったんだよ。 中学時代の素敵な思い出の話は前から何度も聞いていたからね。 またそんな思い出を作っておいで。 お義母さんだって、行くまでは面倒と思うかもしれないけれど、 帰ってきたらきっといい思い出になるよ。 そのためにもお金をケチっちゃいけないんだ。 手紙にも書いたけれど、これで足りなかったらまたあげるから、 お母さんに思い切り好きなことをさせてあげなさい」 このお金は彼が独身時代に貯めたものから出してくれている。 夫婦なのだから、全てが共有のお金と言えばそうだけれど、 私達にはそれぞれ勝手に手を付けることのないお金というものがある。 独身時代に貯めたお金、遺産相続で得たお金などは お互いがそれぞれの口座に持ち、勝手には使用しない。 また私が今もらっているお給料も全て私個人のものとなっている。 今度の日本への交通費や滞在費は夫婦共有の口座からの出費。 この同封されていたお金は、彼個人のお金だ。 1泊2日の為だけの費用。 充分すぎると思う。 それでもいい座席で、いい旅館で、美味しいお料理。 買い物が好きな義母に好きなものを買ってもらいたい。 彼の思いやりだ。 ありがたいと思う。 旅館にしても彼がネットで探してくれたのだそう。 英語で書いているところが少なかったらしいが、 そこに載っているお料理や内装の写真で良いと思うところに決めたそうだ。 でも予約はさすがにネットではできなかったらしい。 全て漢字だから、何処の欄に何を書けばいいのか分からなかったそうだ。 そこで、旅館に直接電話をするが、相手が英語が話せなかったらしく、 一旦電話を切り、辞書と格闘して原稿を書き上げ、 再度電話をして予約をいれたのだそう。 また涙が溢れてきた。 日本にいる友達に頼むこともできたのに、彼は、できることは自分でする人。 私と母の思い出のために、ここまでしてくれたことに心が震えた。 お金では到底得ることのできない貴重なもの。 その一つはこの 思いやりの心 ではないだろうか。 カルヴィンありがとう。 普段はクールな彼だけれど、たまにこうやって 尽きせぬ愛と溢れるほどの優しさを私に浴びせかける。 その温かさを体中で感じ、私は心地よい幸せに包まれる。 彼と出会えて本当によかった。 こう思ったのは、これで何度目だろう。 これから先もまた、そう思う日がきっと来るに違いない。 いつもありがとうございます♪ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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