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2009年11月12日
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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:  他 物語


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日村誠司が代貸を務める阿岐本組は総勢六人というちっぽけ極まりない所帯だが、
堅気に迷惑をかけず、任侠と人情を重んじる正統派ヤクザである。
組長の阿岐本雄蔵は、兄弟分の組長から、
経営難に陥った私立高校の再建を引き受けることになった。
文化的な事業に首を突っ込みたがるオヤジの悪癖を嘆きながらも、日村たちは学校へ乗り込む。

そこで彼らが接したのは、割れたまま放置された窓ガラス、
平気で煙草を吸う生徒、無気力な教師たちであった。
百戦錬磨のヤクザをあぜんとさせるほど荒廃した学園を、
日村たちは立て直すことができるのか―。



昔気質の人情に厚く素人に優しいちっちゃい組のヤクザたちが、
親分の気まぐれで倒れかけた高校の経営を立て直すことになるのです。
親分は理事長で他ヤクザは理事。

ガラスは割れ放題で壁は落書だらけの最低学校で、
逃げ出したい気分になりながらも親分の命令は絶対だからと涙目で掃除する日村さんにキュン。
初めての花壇いじりにいつのまにやら夢中になっちゃう日村さんにキュン。

主人公の日村は言うに及ばず、下のヤクザさんたちも可愛いし、
なんだかんだでピュアな高校生たちも可愛いし、女の子も可愛い。
ってか改めて考えると女の子って2人しか名指しされていないよ。
え、なんて絡み放題ゆめいっぱい腐り放題!

とりあえず、日村たちは揃って皆凄くいい人です。
てか、かたぎさんにはとことん優しくしてくれるし、
礼儀正しい日村さんたちにうっかり惚れそうだわ!

よくある威張り散らしたり乱暴な口調とかが全く無く、
組のしばりと上下関係の絶対さ、看板の重さに、縄張り内の人々を考えた行動と、
ヤクザである設定を高飛車に振舞うことに使っていないのが新鮮でした。
これを読むと、「ごくせん」のヤンクミって我慢が切れるの早すぎじゃね?と思ってみたり。
(ちなみに「ごくせん」はドラマしか知りません。初期以外は好きじゃありません)

そんな「義理と人情」の昔気質な人たちが、
乱暴な口調で目上への礼儀も知らない、善悪の教育も微妙な、
それこそ「恥を失ってしまった現代人」養成所(学校)に行くのです。もう酷すぎるー。
明らかにその筋と認識しても、怖がることもなく舐めきった態度。
返事もやる気ないし目が合ってもやる気ないし何やってもやる気がない。
場数踏んでいるはずの日村さんが、未知の生物相手にぐったりする姿がたまりません^^


そして、ヤクザが学校経営ということで当然ながら親たちがだまっちゃいません。
が、もうこの親たちがもうしょっぱなから凄まじくモンスターなのです。
理事の状態とか知らない時の通常モードがモンスターなわけだから、
対ヤクザになるともうひたすらに激しくモンスター悪化w
日村たちのへの贔屓目なしにしても凄まじい崩壊理論を述べてくれますww
けれど親を相手にというよりは、別の相手とのやりあいが本命です~
こっちの方は普段モードと切り替えた本職の部分を感じることが出来て、メリハリがいい感じ。


当然ながら最終的に、彼らは学校を去ることになります。
まあね、流石にティーンズものじゃないんだから、そりゃそうだろう。

というか、建て直しが成功?
ほんの一時のしか居なかったけれど、けれどもその一時がかけがえのないもので、
教師や生徒たちは見違えるようになり、入れ物である学校もすっかり別物のように輝いて。
最初の描写では、誰がこんな学校に行きたいものかとか思ってしまうところでしたが、
読後の感想はもうこの学校のこの瞬間に居たくて居たくて、たまらない。


ハラハラくすくす、ドキドキ萌え萌え
そして爽快感とほっこりする後味。
これぞ上質のエンターテインメント^^


      

読んだ後に知りましたが、これの前作で「とせい」という本があるそうな。
「任侠学園」内で触れられていた、以前の出版社建て直しというのがこれのことですって。
知らずに読んでもとても面白かったのですが、これを読んでいたらもっと楽しめたんだろうな。

早速「とせい」を探すことにします。


       





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最終更新日  2009年11月12日 22時00分34秒
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