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2010年02月07日
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カテゴリ:  他 物語
 

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。
そう予告されてから五年が過ぎた頃。
当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。
仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。
彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。
家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。
はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?
今日を生きることの意味を知る物語。

【目次】(「BOOK」データベースより)
終末のフール/太陽のシール/籠城のビール/冬眠のガール/鋼鉄のウール/天体のヨール/演劇のオール/深海のポール


たった一言で その人をぐんと好きになる。
  ↓
一郎さんが好きです。
渡部さんのお父さんが好きです。

ちなみに女性陣は皆大好きです。ええ。
毎度ながら伊坂さんの書く女性ってどうしてこう、
清清しく可愛らしく逞しかったりと素敵なんだろうか。
なんかズレてるとこすら魅力ですよ…!!

ということで「終末のフール」

小惑星がぶつかって、8年後に世界は終わりますよ。
っていう発表から5年が経った町を舞台にした短編集。
発表後に世界を襲った混乱と暴力と絶望が、
絶え間なく続くには8年というのは長すぎたようで。
そしていつの間にか訪れていたのは、それなりに平和な日常。
 だ け れ ど も 、
それは人々が自暴自棄になることに疲れてきたから訪れた、
ちょっとした小康状態だから、多分これで終わりじゃないんだろうなぁ。
ということは登場人物たちも予感していて、
というかいくら日常が日常であっても3年後の死は絶対なわけで、
そういう状況で語られる日常ってすごく…危うい。


発表後すぐでも、終末のその時でもなく、
5年経って3年残っているという微妙な時期を設定しているのが、
なんとも伊坂さんだなぁと思うわけです。


シェルターが出来たから選ばれれば生き残れる、とか、
方舟とか、そういうデマで踊らされる人々というのは王道な展開なのだけれど、
やっぱり何度見ても浅ましいなぁと思う。
ほとんどの人が一緒に死ぬのなら、無理に自分だけ生き残りたいとは思わないし。
というのは今現在にさしあたって危機が訪れていない私だから思うことなのかもしれないけれど、
でも、世界の終わりを超えてまで、生きていたいとは思わない。
それにさ、一握りの「人間」となって宇宙へ飛び立ってどうなるの。
そこまで人間が価値のある生き物だとは思わないし、
地球という星の形跡を…とか言うなら、人間でなくても植物とか微生物とか詰め合わせたらいいんじゃないと考えちゃうんだけれども。

というか、そもそもそこまで生きられるかどうか。
この本だったら、終末発表後の荒れで早々と誰かのむしゃくしゃで殺されるか、
あっさり世を儚んで…という、ストーリーにもならないようなキャラだろうな。私はww


表題の「終末のフール」以外はどれも好きだけど、
天然乙女の徒然散歩という雰囲気で気に入ったのは「冬眠のガール」
大団円な空気を感じさせてくれる「演劇のオール」もかなり好きだな。
どっちも女の子が可愛くてたまらないのです。
可愛い女の子とやさしい人々と、漂う無力感と失われた日々の苦さがたまらない。
綺麗なものを綺麗さだけで描くことなく、
残酷なものを残酷さだけで描くことなく。
そういった作品がどうにも大好きで困っちゃいます。
読後の気分がすごく引き摺られちゃって、疲れるってわかってるのにね。


       





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最終更新日  2010年02月07日 18時53分22秒
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