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カテゴリ: 他 物語
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 田口潤は、14歳の中学生。3年への進級を機に、日記をつけ始めた。 毎日彼が記すのは、実の父親の死後、母親の新しい恋人になった加瀬という男と3人での同居生活。仕事をせず、次第に母親に暴力をふるうようになった加瀬と、恋人に盲目的に尽くす母親。理解できない彼らの関係に怒りを覚えつつも、ただ母親の幸せを願う潤だったが、やがて彼は不吉な事件に巻き込まれていく―。事件を追う刑事が、少年が綴った日記から明らかにしていく衝撃の真実とは? 家庭に潜む暗闇を抉り出した、桂望実渾身のデビュー作。 かなり前に読んだ県庁の星に続いて桂さんは二冊目。 内容紹介通りに読んでいてとても心詰まる物語でした。 残酷描写や、きつい表現はないのです。ただ、少年の目線で淡々とつづられる日記の内容が、淡々としているがゆえに無性に痛くて。 はたから見ると完全に子どものことなど放っておいて、好きな男に一直線すぎる女なのに、それでも何があってもお母さんが大好きという姿勢を崩さない少年の視点が痛々しく、こんなにも親を好きでい続けられるのかと驚きっぱなしでした。 ただ、周囲の人がいい人だらけすぎてここんとこがリアリティーが感じられず、読んでいてさめるというか、別種の驚きにもっていかれるというか。 用務員のおじさんや先生や友人や友人の親がもう、もう、すごい。 登場人物自体が少ないので余計に感じるんでしょうか。ちょっと惜しい。 いや、昔はこれくらい密度のある関係が普通だったのだろうか?…みんな優しすぎるよー で、少年の日記を中心に進んでいくというと思い出すのが「絶望ノート」
こちらはいじめられっこの少年が、 クラスメイトに受けているいじめと家族に関する不満を切々に憎憎しげに書きつづる日記と、 彼を取り巻く人々の物語なのです。こちらも、書いてあることがえぐくて苦い気分になります。 が、中盤以降にわかることなのですが、なんとこちらはその日記の内容自体が「嘘」なのです。 少年が日記を読んだ親を操ることを前提に、見られてもいいようにというか、見られるためにあえて書いていた「日記」だったのです。 ということで、前半であんなにも痛々しく綴られていた日常が全くの嘘とわかり、 逆にかわいそう…と同情を浴びせていた少年は、実は腹が立つほど憎憎しくしたたかな性格だったと判明してしまい、もうこちらの気分は大混乱。 真逆の展開になるので、合わせて読むとなお面白いかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月30日 21時01分55秒
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