闇に棲む音 新耳袋より
闇に棲む音/あまえんぼう/すりガラスの向こう側/見えない隣人/とある小さな部屋で/廃墟病棟/ふりむいた女の子/影のざわめき/高速道路の少年/事故の多いトンネル/オープンカーの女/海に棲む亡者/ささやく花嫁/かくれ鬼/スリッパの客/母の微笑/バスタブの訪問者/呼灯※スペシャルインタビューとして、山岸凉子×木原浩勝の対談あり!現代において百物語を収めたものが『現代百物語新耳袋』である。現実に起こったあなたのとなりにある怪異を収録した文字通りの現代版百物語。本作品は新耳袋に収録された本当に起こった怪異の物語をコミック化することで絵という媒介を通し、さらなる恐怖の世界を切り開いたものである。佐伯かよの、風間宏子、他15人の気鋭のマンガ家が描く、19の怪異の世界。その扉は、あなた自身の手で開いてください・・・怖い話、怖くない話、わかる話、よくわからない話、色々なパターンの話が18編収録されています。(19編目は対談)この収録数では当たり前ながら1編1編は短く、故に不思議な出来事が不思議なように起こって終了というものも多く……ボリュームはありますが、1編1編の読み応えとしては。。。出産まもなく死んだ母親が、お店の2階で1人寝ているあかちゃんをあやしに来ていた「母の微笑」などは、絵も合っていて怖くもないちょっと悲しいほんわか系幽霊。かと思えば、部屋で目が覚めたら、すりガラスの向こうから謎の老婆が睨んでいて、すりガラスをすり抜けて(←かけてないw)迫ってくるオチも決着もない話が載っていたり。かなり前に「新耳袋」を読んだ時にも思ったことだけれど、こういうただその場面だけを集めたオチや全体像の見えない話って苦手です……。上の話だと、その老婆は誰なのか。なぜ睨んでいたのか。何がしたかったのか。なぜ彼でないといけなかったのか。などなど、そういうところが気になって物足りない!いきなり出てきて、いきなり怖い目に合って、それで終了だもの。「とある小さな部屋で」も、散らかった部屋が綺麗になっていることが続き、不審に思って家捜しすると、なんと押入れに手のひらサイズのお婆さんがいて、お上品にお辞儀をしましたと。……後は友人宅へ行って、その後引っ越した、と。これ、絵を見る限りちっとも怖くない感じなんですよ。で、部屋の掃除もしてくれて。このまま不思議な二人暮らしとか、誰アナタって話しになったり、小説や漫画だと面白おかしくハートフルなストーリーに転びそうですが、この耳袋ではすぐに逃げて終了。。もったいないよーまあ、実際の怪奇に遭遇なんてそんなものかもしれないけれど。だからこそ私は読み物としては、1から10まで設定されている、展開もオチもあって、筋の通るフィクションが好きなのかもしれない。